【40代の緑内障】20人に1人がなる!近視の人ほど要注意の理由は?
白内障は手術で治療可能です
緑内障と同じように40代から増えてくるという白内障。どんな疾患でしょうか? 「白内障は、目の中でレンズの役割をしている“水晶体”が、加齢とともに少しずつ硬く濁っていく病気です。それによって、視野が少しずつぼやけて、見えにくくなっていきます。ただしこちらは緑内障と違い、現在では手術による治療が可能です」 白内障の手術は50年ほど前から行われており、今では手術技術の進歩によって10分ほどでできるそう。 「濁った水晶体を超音波で吸引して、そこに小さなレンズを入れるという方法で、レンズを丸ごと交換する、というイメージです。手術を受けた患者さんの満足度はとても高くて、“世の中はこんなにきれいだったのか”と感動する人も多いんですよ」 緑内障も、白内障も、近視だと、よりなりやすい疾病です。これまでの記事でも紹介したように、近視の子どもがかなり増加していることを考えると、彼らが40代になる頃には、こうした疾患になる人の割合が急増するかもしれないと窪田先生はいいます。 大人になってから緑内障や白内障などになる確率を下げるためにも、子どもが近視にならないよう注意しておくことが重要なのですね。
最新の近視治療「ICL(眼内レンズ)」って、安全ですか?
大人の視力矯正といえば、メガネやコンタクトレンズだけでなく、レーシック手術を受けた人もいるのではないでしょうか。レーシックが治療法として一般的になってきた一方で、最近ではICLという手術法も新たな注目を集めています。それぞれどんな治療法なのか教えてください。 「レーシックは角膜の表面にレーザー照射をして角膜の屈折を治す、という近視の治療手術。20年ほど前に始まり、今では技術も大変進歩して、手術後の視力回復のクオリティもかなり高くなっています」 たしかに、周りにもレーシックで視力が回復したという友人も多くいます。最近の近視治療では、ICL(眼内レンズ)を勧められることも多いと聞きますが……。 「最近の近視治療で主流になってきているのが、ICL=有水晶体眼内レンズです。ICLは、自分の水晶体を取り除き、代わりにソフトコンタクトレンズを目の中に埋め込む手術、と考えるといいと思います」 レンズを入れ替える! そんなことが可能なんですね。眼科医から見て、安全性はどうなのでしょうか? 「ICLのように目に何かを埋め込む手術というのは、やはりリスクは高いと考えています。レーシックとICLの違いをたとえるならば、頭の頭皮を手術するのがレーシックで、頭蓋骨を開けて脳の中に手を入れる手術がICL。ICLはそれだけ侵襲が大きいのです。 もし私だったら、正直自分の家族には勧めません。ですが、治療を受けることを検討しているのであれば、ICLをやっていない眼科医にもセカンドオピニオンで意見を聞くとよいと思います。メリット、デメリットを知った上で、慎重に判断してください」 ICLは効果が認められた治療法ではあるものの、一般化してからまだ10年ほどしか経っていないため、長期的なエビデンスは分かっていないのが現状とのこと。周りの誰かがやったから、と気軽に受けるのではなく、治療を受ける前にはしっかりリスクも確認しておきたいところです。ちなみに、ICLもレーシック治療も受けられるのは18歳以上と決められています。 「眼科医の多くはメガネで視力矯正をしていて、レーシックやICLはしていません。それは目が精巧な機能を持った臓器なこと、そこにメスを入れる怖さを誰よりも知っているからです」 目の機能の素晴らしさを知っているからこそのこの言葉は、ズシンと響きました。 私たちの生活の質を大きく左右するのが「目」の健康です。子どもの近視の予防や治療から、子育て世代の私たちのこれからの目との付き合い方まで、この企画でご紹介したいろいろを、今後の自分と家族の健やかな生活のためにいかしていきたいものです。 撮影/横田紋子