【新型GRヤリス 攻める楽しさを公道チェック】MT以上にダイレクトなシフトを気軽に楽しめる!斬新8速AT「GR-DAT」と「愉快な進化たち」を、本音で語ろう
もうGRカローラが羨ましくない(かもしれない)パワーアップ
走りに関しても大きな進化を遂げていることは明らかだ。 もともと世界最強の3気筒エンジンであるG16E-GTS型は、GRヤリスの初期型では最高出力が272psだったところ、約2年後に登場したGRカローラでは304psに引き上げられ、その304ps版が改良型GRヤリスにも与えられたわけだ。32psと30Nmの上乗せにより違いは、乗ればすぐにわかる。 参考までに記すと、1618ccという排気量は、WRCのホモロゲーションを意識したものだ。87.5×89.7mmとストロークが若干長いスクエア型で、10.5の圧縮比を持ち、筒内直噴とポート噴射を併用し、吸気ポートをストレートにするなどして急速燃焼を実現しているのが特徴だ。 進化型では、もともと強力なエンジンをさらにパワーアップするためにブースト圧を高め、それに合わせて冷却や排気効率を高めるとともに、燃料ポンプ(高圧)の容量を増やしたほか、ウエストゲートの制御を工夫するなどして俊敏なレスポンスを確保している。 これまでも十分すぎるほどパワフルだったところ、300psオーバーを実現した進化型は、より力強く伸びやかな吹け上がりを楽しめるようになった印象を受ける。 ピストンの重量合わせも効き、トップエンドまで引っ張ってもまだまだいけそうな余韻を残しつつ7000rpm前後まで回る。
MTと同等以上に「自由自在」な8速ATを新採用
進化型では、そんなGRヤリスならではの価値をもとに、「幅広いドライバーがスポーツ走行を楽しめ、レースでMTと同等に戦えるAT」を目指して開発したという「GR‐DAT」がラインナップされたのが最大のポイントだ。 この新開発の8速ATはタダモノではない。トルコン側に多板クラッチを組み合わせて全ギアで瞬時のロックアップを実現したスグレモノだ。 さらに、高性能版のRZ“High performance”にはよりポテンシャルを引き出すべく、前後デフともにトルセンLSDが組み合わされている。 扱いやすくて故障の不安も小さく、なにより性能が高い。これまでスーパー耐久レースや全日本ラリー選手権などさまざまなモータースポーツシーンとドライバーの走行を通じて国内外のサーキット評価で鍛え上げ、まさに壊しては直すを繰り返しことで、幅広い方が楽しめる速さと信頼性を実現したという。 GRではこのATのことを「モータースポーツの常識を覆す可能性を秘めたゲームチェンジャー」だと表現している。ATの追加設定を歓迎するユーザーは少なくなく、初期受注のAT比率は実に約50%と、イメージよりもかなり高いことにも驚かされた。