【新型GRヤリス 攻める楽しさを公道チェック】MT以上にダイレクトなシフトを気軽に楽しめる!斬新8速AT「GR-DAT」と「愉快な進化たち」を、本音で語ろう
自ら操る感覚を自然に演出。実はサウンドにもこだわる
トルコンATと聞いて先入観で残念に思っている人もいることだろうが、意識改革したほうがいい。 実際にドライブしても、MTと比べても遜色ないほどダイレクト感があることに感心する。あえて変速ショックを感じるようにし、ATとはいえ自ら操っている感覚が強い。スポーツモードにするとシフトチェンジが素早くなる。 かたやMTも、あらためてシフトフィールの良さを再確認できた。適度にショートで刻みが掴みやすく、ガシッとしたレーシーな操作感で操ること自体に楽しさを感じる。だからMT派の期待を裏切ることはない。 音にも大いにこだわっていて、ATには雑音を低減するアクティブノイズコントローラーが、MTにはさらに音による演出を加えるアクティブサウンドコントローラーが装備されており、聴覚でも性能を楽しむことができる。 ギアのステップ比は、ATも6速までがMTと同じぐらいクロス気味になっている。8速はかなりワイドで、100km/h巡航時のトップギアでのエンジン回転数はMTが約2500rpmに対し、ATが約1800rpmと低い。それも効いて、中~高速走行時と低速主体の走行時で燃費の公表値が逆転しており、実際に走った感触もまさにそのとおりだった。
現行型オーナーを翻意させた?洗練された乗り心地と安心感
足まわりの進化も小さくない。試乗した高性能版のRZ“High performance”には、サーキットを攻め込むことを念頭に、限界域での速さとコントロール性を追求したチューニングが施されているが、走り出してすぐに感じるのは乗り心地が良いことだった。 スポーティな初期型が悪かったわけではないものの、跳ねや微振動が見受けられたが、引き締まっていながらも動き始めから足がよく動くようになった進化型は、同じタイヤを履くとは思えないほどグリップ感が増して、質の高い走りになっている。しっかりとしなやかに路面を捉える感覚がハンドルからも伝わってくる。 GRヤリスの車両重量の軽さとホイールベースの短さは、ワインディングロードでは大きな強みとなる。強力な動力性能とともに、キビキビと意のままに操れるのもGRヤリスなればこそである。 さらに、シャシとボディが強化された進化型は、そこに上質さと安心感が加わった。タイヤがしっかり路面を捉える感覚が伝わってくるおかげで、より快適で不安なく走れるようになった。 これには走りの精度感が増して、ハンドルを微舵の領域から切ったとおりに応答遅れなく動いてくれるのも効いている。その恩恵はワインディングロードはもちろん、公道をごく普通に走っても十分に味わうことができる。 自動車検査証によると、後軸重は同じ510kgで、前軸重は790kgと770kgと20kgばかりAT仕様が重い。それもあってATの方が、ハンドリングと乗り心地が微妙にマイルドに感じられた。