【新型GRヤリス 攻める楽しさを公道チェック】MT以上にダイレクトなシフトを気軽に楽しめる!斬新8速AT「GR-DAT」と「愉快な進化たち」を、本音で語ろう
戦闘力向上のための外観は「壊しても安心」デザイン
2020年の登場以降も、開発関係者らはモータースポーツを基点とした、もっといいクルマづくりへの終わりなき挑戦として、さらなる戦闘力と商品力の向上を目指し、通常では考えられないほどの手間をかけて、GRヤリスの開発・改良に取り組んできた。 モータースポーツにおいては、さまざまなカテゴリーへの参戦を継続し、「壊してくれてありがとう」を合言葉に、極限の環境下で壊しては直すを繰り返すとともに、ドライバーからのフィードバックを重視した「ドライバーファーストのクルマづくり」を念頭に置いて、彼らの意見を反映し、車両性能を総合的に向上させた。開発に社外のプロドライバーをこれほど起用した例はないそうだ。 その成果が、「進化型」と呼ぶ最新のGRヤリスに凝縮されている。進化の恩恵はモータースポーツにとどまらず、日常的に使うユーザーにとっても、より快適に楽しく高性能を味わえることに直結している。 改良の内容は非常に多岐にわたる。筆者は改良前の車両にもたびたび触れる機会はあったが、とにかくモデルライフの途中でここまでやるとは驚かずにいられないほど各部に手が加えられている。 もちろんその変更点のすべてにモータースポーツに根差した「意味」がある。 外観は一見すると大差がないようで、実はわかる人が見たら即座に判別がつくほど新旧で違う。 フロントはさらなる空力性能や冷却性能の向上を図るための形状変更のほか、バンパー下部が3分割構造とされたのは、破損時に容易に修復できるようするためだ。 リアはテールランプが一文字につなげられ、上下に配置されていたハイマウントストップランプやバックランプを集約したのも、リアスポイラーを好みのパーツに交換しやすくし、パンパーが破損しても灯火類の視認性を確保するためという配慮による。
ドライバーファーストの内装は、快適性にも貢献
大きく変わったのは、むしろコクピットのほうだ。 まさしくドライバーファーストに向けた運転環境の整備を最優先して、操作パネルとディスプレイを運転席側へ15度傾け、さらに競技用シートベルトで身体を固定した状態でも操作しやすいスイッチ配置とされた。 これらは機能性の向上はもとより、日常をより快適に使うことにも大いに寄与する。ドライバーを囲むように配されたインパネは、見た目にも存在感が増した。 さらに、初期型ではやや高い感のあったドライビングポジションも、ヒップポイントを25mm下げるとともに、ハンドル位置を調整して、より適切なポジションが取れるように変更された。たしかに進化型のほうが座った瞬間からしっくりくるような気がする。 細かいところではルームミラーを上部に移設したり、センタークラスターの上端を下げるなど視界を改善するための工夫も施されている。フルモデルチェンジではないのにインテリアをここまで大きく作り変えるのは前代未聞のことだ。 いかに力を入れて改良に臨んだかが窺い知れる。