サブスタック を活発に利用し始めたD2Cブランド創業者たち。「ビジネス以外の自分を考える、クリエイティブな場だ」
時間は必要だが、消費者との距離は縮まる
おそらく多くの創業者にとって、サブスタックの開始を躊躇させる最大障壁はそのための時間の捻出だろう。 ドーシーのストラチャン氏は2023年のはじめにサブスタックを立ち上げたが、週に4時間から6時間をそれに費やしていると見積もっている。同氏は「真の政教分離原則(real separation of church and state)」を信じているため、ビジネスに支障をきたさないように記事を書くのは週末に限定している。 同氏はサブスタックをはじめた当初はリンクを共有したり新しい人と出会ったりする場所を作ること以外の目標はなかったという。しかし何千人もの購読者を獲得したために、このことは明らかに彼らの琴線に触れているようだ。 「創業者としてエクセルのスプレッドシートの確認や財務的な仕事に多くの時間を費やしていると、消費者からは遠く離れてしまう」。 ストラチャン氏はサブスタックのおかげでより多くの人と話すことができるようになったと喜んでいる。同氏のニュースレターは「ファッションが私たちの日常生活にどのように溶け込んでいるかを伝える実録的なサブスタック」と説明されている。たとえば「オールドラルフローレン(Old Ralph Lauren)」に関する投稿のコメント欄では、読者は質の高い古着がどこで手に入るのか、あるいは時代を超越した服とはどのようなものかなどについて話している。 こうした事例は人々が何を買うのか、そしてなぜ買うのかについて貴重な洞察を与えてくれるため、ビジネスに役立つとストラチャン氏は語る。「今は当然ながら、物価がいかに高いかということに関しての壮大な話題が進行中である」。
ソーシャルメディアは現実世界や人々と繋がるための手段
同様にクラウンアフェアのコーエン氏も、現在同氏がソーシャルメディア上から観察しているひとつの傾向は「人々はハイとローの組み合わせを求めている」ことだと語る。その一例として、同氏はラグジュアリー化粧品小売店のセフォラ(Sephora)に設置されているクラウンアフェアの陳列棚を訪れた際に撮った自分の写真をインスタグラムに投稿したことを挙げた。 その写真では同氏はシンプルな白いTシャツを着ていた。「8人から個別にDMが来て、『このTシャツはどこのものか?』と尋ねてきた」とコーエン氏は振り返る。「たしか20ドル(約3210円)のユニクロのシャツだった。そういうものが売れるのだ」。 ストラチャン氏はこうしたエピソードが重要だと述べた。これらは調査で簡単に収集できるものではないからだ。 同氏は創業者として「現実世界から切り離されたくない」と語り、「インスタグラムやサブスタックで私にとって本当に役に立っているのは、顧客と話すこと、そして会ったことのない人たちとの繋がりを感じられることだ」と続けた。 [原文:DTC Briefing: Looking for a creative outlet, more founders are turning to Substack] Anna Hensel(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:都築成果)
編集部