ザックジャパンがW杯で残した課題と収穫
チーム作りの過程において、ハイプレスから縦に速い攻撃を好む指揮官と、じっくりボールを回しながら崩したい選手との間で意見が食い違うこともあったが、考えをすりあわせ、歩み寄ってきた結果、ショートカウンターとポゼッションとの間で「バランス」が取れるチームに成長していった。それこそ日本人の技術、スピード、敏しょう性、献身さ、組織力を活かしたザックジャパンの強みで、岡田前監督が目指したもの、「日本人の日本化」を謳ったオシム元監督が目指したものも、これに近かったはずだ。 ■長谷部「10年20年先をみて継続していくことがいい」 長谷部が4年間の成果を改めて振り返る。「残せたもの……、難しいですね。日本サッカー全体の未来のことだったと思うし、結果が出なかったということは、この4年積み重ねてきたものを出せなかったということでもある。ただ、ここでまた新しいものを模索していくのか、継続していくのか、代表レベルで言えば、サッカー協会の人たちが決めることだけど、個人的には、10年、20年先のことを見てやっていくのであれば、継続していくことがいいと思う」。 歴代最強と言われた日本代表としては、あまりに残酷なエンディングだったが、この悔しさは、代表チームだけでなく、日本のサッカー界全体がもっと強くなっていくための糧になるはずだ。そして10年後、20年後に振り返ったとき、日本のスタイルを明確に示すというザックジャパンの今回の試みは、価値あるものになっているに違いない。 (文責・飯尾篤史/サッカーライター)