2050年GDP8位に転落へ……日本を追い抜く新興国とは? インドやブラジルだけじゃない「伏兵」も
「円安?」「国債?」「チャットGPT?」よく耳にするけれど、実際のところ何のことなのか、何が問題なのかわからないまま……そんな今さら聞けないニュースや用語の数々を、どこよりも楽しく、そしてわかりやすくご紹介します!大人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが新聞記者となって、世の中の経済ニュース・時事用語を基本からていねいに紐解き話題となっている書籍『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』の中から一部を抜粋、編集してお伝えします。(構成/上栗崇) 本連載は、好奇心旺盛な「鷹の爪」吉田くんの質問を、先輩であるアカツキ記者が答えていく会話形式で構成されています。今回のテーマは「GDP世界4位に転落」です。 ● ところで吉田、GDPって何の略かわかってるのか 吉田くん(以下、吉田):先輩、日本のGDPが4位になったんですよっ。3位でも5位でもなく4位ですからね! アカツキ先輩(以下、アカツキ):ほう、よく知っているな。ところで吉田、GDPって何の略かわかってるのか。 吉田:えーっと、爺(じい)・泥(でい)……ピーの漢字が思いつきません。 アカツキ:GDPを漢字で書こうとするやつを初めて見たな。GDPは「Gross Domestic Product」の略で、日本語で言うと「国内総生産」だ。 吉田:コクナイソウセイさん? 誰ですかそれ。 アカツキ:GDP、国内総生産は国の経済活動の大きさを金額で表した指標で、その国の経済成長を測ったり、各国の経済規模を比較したりするのに使う。 吉田:で、今までは何位だったんですか。 アカツキ:おい、それを知らずに騒いでたのか。日本は戦後急激に経済成長した結果、1968年に当時の西ドイツを抜いてアメリカに次ぐ世界2位の経済大国になった。2010年に中国に抜かれて3位になり、2023年にドイツに抜かれて4位に転落したんだ。 吉田:あちゃー。日本の景気、相当悪いんですねぇ。 アカツキ:いや、そういうわけじゃない。日本の2023年のGDPは前年より5.7%多い591兆4000億円で、過去最高だった。コロナ禍からの回復で消費が伸びたり、円安で輸出が伸びたりした結果で、総じて日本の景気はよかったと言える。 ● ドイツに抜かれたのは円安の影響が大 吉田:じゃあなんでドイツに抜かれるんですか。ドイツが絶好調ってことですか。 アカツキ:ドイツに抜かれたのは円安の影響が大きい。日本のGDPは円ベースではプラスだったものの、2023年の平均為替レートは1ドル=140.5円で前年より9円ほど円安になったため、米ドルに換算すると1.1%減になってしまったんだ。ドイツのGDP成長率は6.3%で日本を上回っていたんだが、経済が好調というだけではなく、物価高に苦しんでいるという面もあるようだ。 ● 2050年にはインドネシアやブラジル、ロシア、メキシコにも抜かれて8位になるとみられている 吉田:なんだ、じゃあ円安さえ落ち着いたら、また3位に復帰できそうですね。 アカツキ:そんなに簡単な問題じゃない。日本経済は長期的にみると低迷が続いているんだ。ドイツは日本の人口の3分の2しかないが、国際通貨基金(IMF)のデータをみると、2000~2022年のGDP年間成長率は、ドイツが平均1.2%なのに対し、日本は0.7%だ。順位逆転は円安の影響であると同時に、長年にわたって成長率の差が積み重なってきた結果でもある。 吉田:そんなに伸びてないんじゃ、いずれは4位の座だって危ないんじゃないですか。 アカツキ:実はその通りなんだ。日本のGDPは2025年にはインドに抜かれて5位に転落すると予想されている。コンサルティング大手PwCが公表した調査結果「The world in 2050」によると、2050年にはインドネシアやブラジル、ロシア、メキシコにも抜かれて8位になるとみられている。 吉田:うわぁ! 世界征服のためには、鷹の爪団の拠点をインドやブラジルに移した方がいいかもしれないですねぇ。 アカツキ:拠点を移すと言っても、ヒンディー語やポルトガル語はわかるのか? 吉田:バカにしないでください! 日本語だってよくわかりませんよ!! ※本稿は『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。 ※吉田くんとアカツキ先輩が活躍中のアニメ連載「そもそも?知りたい吉田くん」は朝日新聞デジタルで読むことができます。
「鷹の爪」吉田くん