新たな食トレンド“モダンインディアン”とは? 注目のレストランをレポート
メインディッシュはなんとイギリスの伝統料理、牛肉のパイ包み「ウェリントン」のアレンジ。写真は焼きあがったところで、切り分けてサーブされる。ラム肉を使い、乳製品やナッツペーストを使用した濃厚なコーマというカレーソースであえた、後を引くおいしさ。この料理のベジタリアンバージョンはフィリングがきのこ類で作られているのだが、驚くほどリッチで奥深い味わいで次回はベジタリアンコースも頼みたい!という満足度だ。
しめはパエリアパンで焼いた香ばしい鴨のビリアニ。1週間熟成させた鴨肉はうま味が凝縮しており、グリーンガーリックの爽やかなにんにくの香りが食欲をそそり、もうお腹がいっぱいと思っていてもペロリと食べられてしまう。 終始、テンポよく料理がサーブされ、地元のゲストも海外のゲストも新しい食体験にどんどん魅了されていき、エンターテナーに徹したシャザードシェフのユーモアを交えた料理の説明に耳を傾けて舌鼓を打ちつつ、笑ったり、驚いたり、歌ったり!(BGMが’80~90s中心の懐メロだったりする)。コースの後半には、レストランのなかがパーティのような高揚感と、キッチンとゲストの間に一体感が生まれているからおもしろい。
「まさにこの店を作った狙いはそこにあるんです。料理が高水準なのはもちろんだけど、すべてのゲストにとって快適で居心地がよく、スペシャルな体験ができる空間を作りたかったんです」とハンガーインクホスピタリティの創立者のひとり、ヤシュ・バナージさん(右)。料理は最先端でありながらも、友人の家を訪れたような気軽さ、遊びごころたっぷりのワクワク感がこの店にはあるのだ。 「今後、もっとインドで“モダンインディアン”というジャンルが発展していくでしょう。フレンチやイタリアンだけが高級料理と思われている時代ではもうありませんから。インドには知られざる郷土料理がまだまだたくさんありますし、食材もスパイスも豊富です。『パパズ』はそういったインド料理の、新たな可能性を体感できる場所になっていくと思います」と共同創立者のサミール・セスさん(左)は熱く語る。 新たな食の探求の旅に出たいならムンバイへ。「パパズ」でのめくるめく濃厚でハッピーな夜は、私たちのインド料理の今までのイメージを小気味よく裏切ってくれることは間違いない。
Papa’s Papa’s at Veronica’s, 3R3G + JMX, Waroda Road, Ranwar, Bandra West, Mumbai, Maharashtra 400050,India tel. +91-77388-95597 営業時間/20:00~遅くまで 定休日/日~火曜 ベジタリアンコース INR5,600(税別)、ノンベジタリアンコース INR5,800(税別) 「パパズ」の建物の一階は、黄色い外観が目を引くカフェ&グルメサンドイッチショップの「ヴェロニカズ」。写真は「ヴェロニカズ」の前で微笑むヤシュ・バナージさんとサミール・セスさん。