新たな食トレンド“モダンインディアン”とは? 注目のレストランをレポート
世界的な食のブームでもある「モダンインディアン」。インド・ムンバイでも新たなインド料理のムーブメントが起こっている。今までなかった話題のレストランを訪れてみた。 ※INR(インドルピー)100=¥189で計算
インド・ムンバイと聞いて何を想像するだろうか? ボリウッドの聖地であり、映画『スラムドッグ$ミリオネア』の舞台にもなったインド最大のスラム街がある反面、近年ではウォーターフロントに高層ビルが続々と建設されている経済振興都市……。どこを切り取ってもパワフルなエネルギーを感じさせる、気になる存在なのがムンバイなのだ。 ロンドンやNY、メルボルン、バンコク、ドバイなど世界の都市では、食のシーンで「モダンインディアン」人気が定着した感があるが、本家のインドでも近年、このジャンルが急速に進化中だ。「モダンインディアン」といってもはっきりとセオリーがあるわけでなく、その名の通り「新しいインド料理」なのだが、それは従来のインド料理を洗練された形でアレンジするものから、フレンチやイタリアンなどのヨーロッパ料理、メキシカンやペルー料理などの南米料理、日本料理、アジア料理などの他の国の料理のエッセンスを組み合わせたものまでさまざまだ。
そしてムンバイで今注目なのが、今年2月にオープンした新スタイルのファインダイニング「Papa’s(パパズ)」だ。ムンバイ初のカジュアルなモダン・インディアンレストラン「The Bombay Canteen(ボンベイ・キャンティーン)」(2023年「アジアのベストレストラン50」で35位、2024年は70位) や、スタイリッシュなスイーツ専門店「Bombay Sweet Shop(ボンベイ・スイート・ショップ)」 、ポルトガル料理と元ポルトガルの植民地だったゴアの料理をハイセンスに昇華させた料理を提供する「O Pedro(オー・ペドロ)」 、カフェ&グルメサンドイッチショップ「Veronica‘s(ヴェロニカズ)」と、高感度な店を次々とオープンさせているハンガーインクホスピタリティが手掛けているということもあって、国内外のフーディーたちの熱い視線を集めている。 「パパズ」の舵取りを任されたのは、前述の「オー・ペドロ」の料理長だったフセイン・シャザードシェフ。インド南にあるカルナータカ州の料理学校を卒業後、国内の高級ホテルのファインダイニングで働いた後渡米し、世界一のレストランにも選ばれた「Eleven Madison Park(イレブン・マディソン・パーク)」などで研鑽を積んだ経験をもつ実力派だ。 2017年にオープンした「オー・ペドロ」の準備期間には、 レシピ考案のためにポルトガル・リスボン内のさまざまなレストランや、ゴアの伝統的なパンを作り続けているベーカリーなどで料理やパン作りを学んだそう。 写真は、ムンバイの台所的スパイスマーケットを探索中の「パパズ」のフセイン・シャザードシェフ(右)。昨年、世界的なトラベル誌「コンデナスト・トラベラーズ」のインドのトップレストランアワードでシェフ・オブ・ザ・イヤーを受賞。