アメリカ「最高齢の大統領」バイデン氏vs「初の起訴された大統領経験者」トランプ氏――再対決に漂う“閉塞感”
2024年11月に迫ったアメリカ大統領選挙。「史上最高齢の大統領」バイデン氏(81)と「史上初めて起訴された大統領経験者」トランプ氏(77)による再対決の可能性が高まっている。高齢不安や中東情勢、刑事裁判など両者ともに弱みを抱え、選挙戦の先行きは混沌としている。 ▼トランプ氏復活か…来年は「世界の将来かかる」池上彰が解説【バンキシャ!】
■「高齢者対決」に閉塞感
24年11月に迫ったアメリカ大統領選挙は、「史上最高齢の大統領」バイデン大統領(81)と、「史上初めて起訴された大統領経験者」トランプ前大統領(77)の対決になる可能性が高まっている。23年12月に発表されたAP通信などの調査では、バイデン氏の再選に56%が不満を持ち、58%がトランプ氏の返り咲きを望んでいない。再選されても2期目の終わりに86歳を迎えるバイデン氏と、4つの事件・91の罪で起訴されているトランプ氏。両者ともに弱みを抱える「高齢者対決」に閉塞感が漂う。
■「打倒トランプ」でしか、まとまれない…
ある与党・民主党関係者は「現職大統領が立候補する以上、バイデン氏を支持するしかない。ただ、相手がトランプ氏でなければ若い候補を選びたい…とみんな思っている。『打倒トランプ』という理由だけでしか、民主党はまとまれない」と、ため息交じりに語った。 バイデン氏も23年12月「トランプ氏が立候補していなければ、私も立候補していたかどうか分からない」と、対抗馬がトランプ氏でなければ、立候補しなかった可能性に言及し、物議を醸した。 「トランプ氏に勝てる候補」として再選を目指すバイデン氏だが、苦戦を強いられている。世論調査では、バイデン政権の支持率は40%前後で低迷。大統領選がバイデン氏とトランプ氏の戦いとなった場合の支持率では、トランプ氏にリードを許している(リアル・クリア・ポリティクス[23年12月21日時点]バイデン氏44.5%/トランプ氏46.8%)
■ホワイトハウス高官「危険水域に入った」
バイデン氏の支持率低迷の要因の1つに、“非白人層”や“若者”など、従来の民主党の支持基盤を固め切れていない点が指摘されている。あるホワイトハウス高官は「支持率が上昇するきっかけがないことが最大の懸念。バイデン氏の支持基盤の中心である黒人とヒスパニック系の支持離れが深刻だ。危険水域に入ったと思う」と危機感をあらわにした。 非白人層は、人種的少数派の権利を重視する民主党の支持基盤とされる。ニューヨークタイムズによると、バイデン氏は、20年の大統領選の出口調査では非白人層の支持を70%以上獲得したが、23年9月までの調査では、支持が53%に低下しているという。 支持離れの要因の1つに、経済政策が評価されていない点がある。失業率は低下し、物価上率も鈍化したものの、日常生活に必要な食料品や自動車、住宅、子育て費用などの値上がりに、賃金が追いついていないと指摘されている。生活の苦しさからくる現状への不満の矛先が、バイデン政権に向いているとみられる。 さらに、イスラエルとイスラム組織「ハマス」による戦闘も、影を落とす。“イスラエルの自衛権”を擁護し、停戦に反対するバイデン政権の姿勢に、アラブ系アメリカ人の支持率は急落し、若者の間にも反発が広がっている。 こうした危機感からか、バイデン氏は23年12月、SNSにオバマ元大統領と共に撮影した動画を投稿した。今も民主党の支持層に高い人気を誇るオバマ氏にあやかり、従来の支持基盤を固めたい狙いが透けてみえる。