アメリカ「最高齢の大統領」バイデン氏vs「初の起訴された大統領経験者」トランプ氏――再対決に漂う“閉塞感”
■トランプ氏 高支持率も、有罪判決が出たら…
一方のトランプ氏は、大統領経験者として圧倒的な知名度と岩盤支持層を持つ。加えて、エリートや既得権層と闘う姿勢をアピールし、現状に不満を持つ人々の支持を集める。こうした人気を背景に、4つの刑事事件で起訴されたにもかかわらず、「バイデン政権の政治的迫害だ」と“被害者”の立場を強調することで、今のところ高い支持率を維持している。 しかし、選挙戦と並行して行われる裁判で有罪判決が下された場合には、支持が急落する懸念が指摘されている。バイデン氏に勝利するために必要な、共和党内の穏健派や無党派層の支持が得られるかも不透明だ。 正式な共和党の候補にトランプ氏が選出されれば、トランプ氏の勝利を阻止しようと、民主党支持者が固まり、投票率が上がる可能性もある。また大統領選の前哨戦として注目された、23年11月に行われた知事選や州議会選では、バイデン政権の支持率が低迷する中でも、人工妊娠中絶の権利擁護を訴えた民主党が勝利した。大統領選でも人工妊娠中絶の問題が中心的な争点となれば、民主党への追い風になるとみられている。
■「トランプ再選にも備えよ」
投票日まで1年を切ったものの混迷が続く現状に、日米外交筋は「日本がやるべきことは、大統領選の情勢分析することではない。どちらが勝ってもいいように準備をすること。トランプ再選にも備えよということだ」と強調する。ある日本政府関係者は「貿易赤字の解消や在日米軍駐留経費の増額を迫られるかもしれない。あらゆる事態を想定しておく必要がある」とする一方、「事務レベルでの日米関係強化も重要だが、結局のところ時の総理大臣がトランプ氏とやりあうしかない。日本の政権が安定していることを願う」とも語った。 世界の安全保障、日米関係に大きく影響を与えるアメリカ大統領選は、24年1月、アイオワ州から長い戦いが始まる。