「若い頃は流行に流されたけど..….」奥田民生が辿り着いた“本当の自分のスタイル”
来年、奥田⺠生は還暦を迎える。30年以上にわたる音楽キャリアを歩んできた彼は、ソロ活動30周年を記念して、自身の人生観をまとめた一冊『59-60』を発表した。この本では、「仕事」「友人」「遊びと金」「健康」「メンタル」という5つのテーマを軸に、音楽と人生が語られている。 【写真8点】「奥田民生が辿り着いた“本当の自分のスタイル”」の詳細写真をチェック 「無理せず、欲張らず」という自然体の人生哲学が、飾らない言葉で綴られており、音楽だけでなく、日常のあらゆる側面にその哲学が根付いていることがわかる。インタビューでは、彼の言葉が世代を超えて共感を呼ぶ、普遍的なメッセージとして響くことが伝わってくる。
「ぱっと咲いてぱっと散る?いや、⻑く続けてこそ本物」⺠生が語る音楽人生
世代を問わず「あんな生き方、いいな」と思わせる奥田⺠生。彼が人生をどう楽しみ、どう考えてきたのか。現代を生きる私たちが抱える「肩に力が入りがちな生き方」に、彼のゆるやかな哲学が一石を投じるかもしれない。そんな疑問を⺠生にぶつけてみた。 「ミュージシャンって、『ぱっと咲いてぱっと散る』なんて言われることがあるんだよ」と、⺠生は軽く笑って話し始める。 「まあ、早く亡くなって伝説になるっていうの、確かにかっこいいと思う部分はあるけどさ。でも俺はやっぱ、『⻑くやってなんぼ』だと思うんだよね。2、3曲いい曲作るのは誰にでもできるかもしれないけど、それを何百曲も続けられるかが大事なんじゃない? だから、結局は⻑く続けて楽しむ。それが一番大事だと思ってる」。 この一言に、30年以上にわたる音楽キャリアの本質が集約されている。ユニコーンでデビューし、一気に忙しさに追われる中、20代は「修行」の時期としてひたすら学び続けた。 「広島から何もわからず東京に出てきて、正直、音楽のことも詳しくなかったんだよ。だから毎日がインプットの連続だったね。音楽聴きまくって、ライブにも行った。曲作りも手探りだったけど、そうやっていろいろ吸収していったんだよね」。
「やりたいことをやり尽くした!」30代に刻んだ挑戦と進化
⺠生にとって、30代は「アウトプットの時期」だった。「20代で学んだことをただ抱えていても意味がない。だから、30代はそれを一気に吐き出すタイミングだったんだよ」と振り返る。 ソロ活動に加え、井上陽水とのコラボレーションや「ひとり股旅」ツアー、さらには地元・広島市⺠球場での初ライブなど、新しい挑戦を次々と実行。彼は、30代を「持っているものをすべて出し切った時期」として位置付ける。 「とにかく、やりたいことは全部やったよね。30代はそういう時期だったな」 さらに、PUFFYのプロデュース業に挑戦したことで、自分のためではなく他者のために音楽を作るという新しい経験も得た。 「あれは面白かったよ。自分のためじゃなくて、他の人のために曲を作るっていうね。30代はそういう新しい楽しみを知った時期だった」。