今年亡くなった笠松の名牝 「ラブミーチャン記念」を前に輝かしい蹄跡たどる
きょう11月19日、笠松競馬場では重賞のラブミーチャン記念が行われる。レースタイトルの「ラブミーチャン」とは、09年の全日本2歳優駿など、重賞16勝を挙げた笠松の歴史的名馬。引退後は繁殖牝馬として活躍していたが、今年の8月末に17歳でこの世を去った。そんな彼女の名を冠した一戦を前にして、いま一度蹄跡をたどってみたい。 【写真】笠松の歴史的名馬 ラブミーチャン 同馬は父サウスヴィグラス、母ダッシングハニー、母の父アサティスの血統。オーナーは「Dr.コパ」の愛称で知られる小林祥晃氏。当初はコパノハニーの馬名で中央競馬からデビューする予定だったが、未出走のまま登録を抹消され、ラブミーチャンと改名のうえ笠松競馬場に入厩した。 09年10月のデビュー戦から伝説は幕を開ける。新馬、ジュニアクラウンと連勝すると、3戦目には京都ダ1200mの2歳500万下を選び、終始ハナを譲らず1分11秒0の2歳コースレコードで白星。このタイムは今年11月2日にアメリカンステージが更新するまで、実に15年間も破られることは無かった。その後は兵庫ジュニアグランプリ、全日本2歳優駿を連勝。5戦5勝の輝かしい成績を残し、満票で2歳馬としては史上初となるNARグランプリ年度代表馬に選出された。 3歳から古馬にかけては全国の短距離重賞で存在感を示していく。11年~13年には名古屋でら馬スプリント、習志野きらっとスプリントをそれぞれ3連覇。11年からスタートした地方競馬スーパースプリントシリーズの盛り上げにひと役買い、またレース価値を大きく高めた。JpnIタイトルにこそ手が届かなかったが、12年の東京盃、13年に東京スプリント、クラスターCを制すなど、ダートグレード競走でも活躍。最後は調教中に骨折して現役を退いたものの、6歳を迎えてなお隆盛を誇っており、まだまだ活躍が見たくなる一頭だった。 14年には功績を称え、笠松の重賞・プリンセス特別がラブミーチャン記念へと改称。引退後に繁殖入りすると5頭の産駒を送り出し、ラブミージュニアが南関東B2で活躍。また、ラブミーレディー(父コパノリチャード)が繁殖牝馬、リッキーボーイ(父コパノリッキー)が種牡馬入りしており、ラブミーチャンの血は孫世代につながる見込みだ。 現在のラブミーチャン記念は暮れの大一番や、翌年の重賞戦線を占う登竜門的な立ち位置になっている。22年覇者ボヌールバローズは続く東京2歳優駿牝馬で2着。昨年制したヴィヴィアンエイトは今年の北海道スプリントCで4着と、先々を見据えるうえで見逃せない一戦となる。偉大な名馬の背中を追い、大きく飛躍する馬は出てくるだろうか。願わくは地元笠松から、再び全国区で活躍する存在が現れて欲しい。 ■ラブミーチャン(牝、07年生まれ) 通算成績34戦18勝(うちDG競走5勝、地方ローカル重賞11勝) 【受賞歴】 09年、12年 NARグランプリ年度代表馬 12年~13年 NARグランプリ最優秀短距離馬 11年~13年 NARグランプリ4歳以上最優秀牝馬 09年 NARグランプリ最優秀牝馬 09年 NARグランプ2歳最優秀馬