耳掃除はNG! ついやっている習慣が難聴の原因に!? 【40代から増える「耳鳴り・難聴」に要注意! ⑥】
何気なく行っている習慣、健康にいいと思って行っていること、最近使うことが増えたイヤホンやヘッドホンも、実は「耳鳴り・難聴」を助長している可能性が! 日頃やってはいけないこと、逆に積極的に行いたいことなど、「耳を守る生活習慣」について、耳鼻咽喉科医で医学博士の石井正則さんに伺った。
耳あかは守護神! 耳掃除はしてはいけない
耳かきをしたときに耳あかがコソッと取れることに快感を感じ、定期的に行っている。お風呂上がりに、耳に入った水分をぬぐうとともに綿棒で掃除している。そんな人はとても多いのではないだろうか? 「実はそれは絶対にやめてほしい行為です。耳あかはただのゴミではなく、きちんとした働きがあります。 耳あかは、耳の穴にある汗腺の一種である耳垢(じこう)腺や皮脂腺からの分泌物に、外から入ってきたゴミと古くなった皮膚の角質が混ざったものです。 その働きのひとつは、外からのゴミを吸着することです。そして、耳垢腺から分泌される濃度の高い脂質によって、外耳道の潤いを保ち皮膚を守る働きがあります。 そして、耳あかは弱酸性で、耳垢腺から分泌されるリゾチームというタンパク質分解酵素と免疫抗体IgAを含んでいて、細菌の繁殖を抑えるなど感染症予防の役割があります。 耳掃除をしすぎると抗菌作用や抵抗力が低下して、細菌が増殖したりカビが生えたり、時には就寝中にベッドにいたダニが侵入することさえあります。 外耳道は穴の奥から入り口に向かって、表皮が移動する仕組みになっているので、耳あかは放っておくと自然に耳の外に出てきます。 むしろ、耳掃除を繰り返すことで、外に出ようとしている耳あかを奥へ押し込んでしまうことがあります。こうして押し込まれた耳あかで、完全に耳の穴が詰まってしまう状態を『耳垢栓塞(じこうせんそく)』といいます。 私のところにも、突然耳の聞こえが悪くなったと、慌てて受診に来た患者さんがいたのですが、耳の中に鉛筆の頭についている消しゴム大の耳あかが詰まっていたことがありました。頻繁に耳掃除をすることで、耳あかを奥に押し込んでいた結果です。耳鼻咽喉科ではよくあることです。 耳掃除は百害あって一利なし。どうしても気持ちが悪い場合は、2~3カ月に一度、耳鼻咽喉科で取ってもらうことをおすすめします。ちなみに私はいっさい耳掃除をしていません」(石井先生)