日本代表DF、森重が誓う“第3の男からの脱却”
ザックジャパンのセンターバックは、2011年1月のアジアカップから今野と吉田麻也(サウサンプトン)でほぼ固定されてきた。2人の間に誰かが割って入る状況を待ち望む声がわき上がって久しい中で、ようやく「第3の男」が台頭してきたことになる。 実際に今野と吉田は、森重の存在をどう感じているのか。 「自分にはない高さと強さを持っている選手。ずっと脅威に感じてきた」 FC東京でもセンターバックを組んだことのある今野がこう言えば、北京五輪を戦ったU‐23日本代表のチームメイトだった吉田も続いた。 「森重君の身体能力の高さは誰でも知っていることだし、上手さと強さを兼ね備えてもいる。(今年に入って)代表に選ばれたからといって特別驚くことではない」 ならば森重は2人をどう見ているのか。 「ディフェンダーとしてまずやらなきゃいけないことを、正確かつ瞬時に判断してできるのが今野選手のすごさ。地味と言えば地味かもしれないけれど、地味な作業を淡々と繰り返せるところが逆にすごい。ヨーロッパでプレーしている経験は吉田選手にとってすごく大きなものですし、それはいまの自分にはない。あれだけの高さがあるにも関わらず足元の技術が高いし、視野も広い」 日本代表に継続して招集されるようになって以降、森重は呪文のように同じ言葉を繰り返してきた。 「スタートラインに立ったばかり」 「これからどうなるかは自分次第」 「高い目標とモチベーションとを持ってやっていきたい」 今野や吉田と「それほど大きな差があるとは思っていない」と自信をのぞかせる一方で、ザックジャパンに自らの指定席ができたとも思っていない。 今日は昨日の自分を、明日は今日の自分を乗り越えるためにやってくる――。所属クラブが2年連続でJ2に降格したことに対する自責の念にかられ、自問自答を繰り返した末に見つけ出した森重の 「哲学」は、勝負の場を日本代表に移しても変わらない。 「自分としては決して遠回りをしたとは思っていません。これまでの過程でしっかりと考えながら歩んできた自信がありますし、階段をしっかりと一段ずつ上ってきていると思っています。五段抜かしぐらいで上れるものなら、自分を含めて誰でもそうしたいと思うはずですけどね(笑)。自分の中で焦りというものも意識していますけれど、高いところだけを見ても仕方がないので。自分の立ち位置をしっかりと把握しながら、やるべきことを積み上げていくしかない」