日本代表DF、森重が誓う“第3の男からの脱却”
かつての盟友の活躍を伝えるニュースが海を越えて飛び込んでくる中で、森重は2011年シーズンをJ2で戦っている。このあたりで「不公平感」が、脳裏をかすめていたのかもしれない。 しかし、辛酸をなめたこの時期がターニングポイントになったと、いまでは自信を持って言える。高く跳び上がるために、一度、屈まなければいけなかったと。 「2010年から2011年にかけては考えることが非常に多かったですし、それがいま現在につながっていることは間違いないと思います。ディフェンダーとして何が一番大事なのかという点を、自分だけでなく、いろいろな人から言葉をもらいながら見つめ直すことができた。その結果として自分にはまだまだ足りないところがあると分かったので、それらをしっかりと受け止めて、取り組んできたつもりです」 性格を自己分析すれば、いまも昔も「負けず嫌い」という項目が真っ先に浮かぶ。1対1における強さ、球際の激しさがストロングポイントだと自負しているが、目の前の相手に競り負ける、あるいは目の前のボールを奪えなかったときに、もう一人の自分が顔をもたげることに気がついた。 必要なのはメンタルを成長させること。2010年までの自分にアドバイスを送るとしたら、森重は迷うことなく、こんな言葉を選んだ。 「ときには負けを認めるじゃないですけれど。もちろん負ければ誰でもいい気持ちはしませんけれど、負けないことを求めすぎてもダメなのかなと。激しさとは別に、熱くなりすぎてしまう部分を削っていかなきゃいけなかった」 2010年に8回を数えた警告が、2011年は4回、J1に復帰した2012年には2回に激減した。何度も繰り返してきた自分自身との対話を経て、森重はひと回りもふた回りも大きく成長を遂げていた。 迎えた今年7月の東アジアカップ。ヨーロッパ組とDF今野泰幸とMF遠藤保仁のJ2ガンバ大阪コンビの招集が見送られることが事前に分かっていた中で、森重は満を持して代表発表の日を迎えた。 「そこしいかないと自分でも思っていましたし、代表でもやれるという自信もありました」