【闘病】「乳がん」2回に「食道がん」1回経験 両胸を再建手術し前向きに生きる
3度のがんを体験も、知識を得ることでしっかりと向き合えた
編集部: 病気が判明したときの心境も教えていただけますか? 松島さん: 最初の乳がんのときは頭が真っ白になりました。家族にも話さないまま一人で結果を聞きに行ったので、病院を出た後もしばらくの間どこへ歩いていたのか記憶も曖昧です。運転中は「家族に余計な心配をかけたくない。 入院日、手術日、ステージ、今後の方針まですべて決まってから話をしよう」と考えていました。 編集部: 治療についてはどのような説明があったのでしょうか? 松島さん: 最初の乳がんでは乳房部分切除の予定でした。しかし、「万が一取り残しがあったら」「毎日放射線治療に通えるだろうか」などの不安があり、左乳房全摘術に変更してもらいました。 結果的に病巣以外にも広がっていたため、医師からは「全切除にして大正解でした」とのことでした。また、その後に形成外科で二次再建(シリコン乳房インプラント)も行っています。 編集部: 術後の治療はどのような内容だったのでしょうか? 松島さん: 術後から6年間はホルモン療法としてタモキシフェンを服用し、閉経後の現在はフェマーラを服用していますが、私の場合副作用の関節痛に悩まされながら服用しています。2度目の乳がんも右乳房全摘手術を選択しました。 術中の検査でリンパ節転移はなかったものの、術後の組織検査で乳頭部にもがんがあり、全切除を選択して大正解とのことでした。 現在、右乳房も二次一期再建手術を進めており、約10カ月かけて皮膚を拡張しつつ、インプラントへ入れ替えていく予定です。術後の薬物治療はありませんでした。 編集部: 食道がんではどのような治療を行ったのでしょうか? 松島さん: ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という内視鏡を利用した治療法を行いました。こちらも切除してから治療はなく、半年に1回の胃カメラで経過観察をしつつ、現在は持病の逆流性食道炎を和らげるためにタケキャブを内服しています。 編集部: そのほかに治療のことで印象に残った出来事などはありますか? 松島さん: 2回目の乳がん(右側)のときは、命にかかわることはないと説明されたのですが、両側とも乳がんになったため、遺伝子検査をしていただきました。 私の場合、もし遺伝性乳がんが陽性なら卵巣がんのリスクも高いとのことで、予防的に卵巣を取る手術も考えた方が良いかもしれないとの説明でした。思い返すと乳がんの告知と同じく、遺伝子検査の結果を聞くのがとても緊張しました。 特に子ども達にも関わることだったため、本当に不安でした。結果は陰性だったため、ホッとして涙が止まりませんでした。 遺伝性乳がんの検査に関しては、陽性の場合は予防や早期発見などのメリットもあるが、子どもの将来に対する不安が生じることにもなるので検査を受ける際にはよく考える必要があると感じました。 編集部: 病気の発症後、日常生活ではどのような変化がありましたか? 松島さん: 最初の乳がんのときは「がん=死」のイメージが強かったので、身の回りの整理など家族のためにできることを考えて行動していました。ですが、色々な知識を身につけ、「今の時点でそんなに焦る必要ないかな」と思い、冷静さを取り戻しました。