「挑戦する過程に意味を見いだす」BiSH モモコグミカンパニーが語る人生を輝かせる方法
2021年のNHK紅白歌合戦に出場した“楽器を持たないパンクバンド”「BiSH」。メンバーのモモコグミカンパニーさんは、グループの中で最も多くの楽曲で作詞を手がけるほか、これまでにエッセイ2冊と小説1冊を執筆している。BiSHとして活動を始めてから「自分に向き合う時間が必要」と思い、本を読んだり文章を書いたりするようになったと語るモモコグミカンパニーさん。文章を通じて向き合った自身のこと、そして2023年をもって解散することを発表した今、BiSHのメンバーとして残りの時間をどう全うしようと考えているのか、話を聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
BiSHに入ってから、自分に向き合う時間が必要だと思った
――これまでに3冊の書籍を出版されていますが、昔から本は好きだったんですか? モモコグミカンパニー: もともとはあまり本を読まなくても平気だったんですが、BiSHに入ってから読むようになりましたね。激しいライブ活動をしているので単純にインプットの時間が欲しかったのもありますが、自分の内面に向き合う時間を大切にしていて、それが読書の時間なんだと思います。現実感のある小説をちょっとずつ毎日読んでいくのが好きなんです。「この小説の主人公が頑張ってるから、自分も今日を頑張ろう」みたいな。 ライブは、自分たちで書いた歌詞をすごく感情移入しながら歌って踊ってお客さんと作り上げていく活動なので、外に発散する時間が増えれば増えるほど、終わると「もうやり切った」みたいな爽快感に近いような、いい意味で自分が空っぽになっていくような気がしていました。でも、本を読むことで背中を押してもらえるし、本を読んで得た感情を表に出すこともできる。表現の幅も広がることで、自分の中でバランスが取れるようになりました。 ――文章を書き始めたのはいつ頃からですか。 モモコグミカンパニー: 小学校高学年ぐらいから詩や日記に興味を持ち始めていたんですね。日常的に感じた感情や景色を言葉にすることが私の中では当たり前で、日記に書いていました。BiSHのメンバーと音楽の話をすると「メロディが好き」という人もいるんですが、私は洋楽でも歌詞の意味を知らないと感情移入できないから、歌詞は絶対に外せないんですよね。そういう体験を通して、私は言葉が好きなんだろうと、自覚してきたところです。 ――エッセイも小説も書かれています。同じ「書く」という作業でも、自分の感情の使い方や書くプロセスが全然違いますよね。 モモコグミカンパニー: エッセイは内面的で人に見せる日記のようなものです。2作目のエッセイ『きみが夢にでてきたよ』では、自分の内面をえぐり出したようなネガティブな内容まで書いて、すごく疲れる作業でした。 一方で小説『御伽の国のみくる』を書いているときは、現実の自分とは全く別の自分が存在する場所に連れていってくれる感覚で、すごい自由だなと思いました。エッセイは自分という体の枠組みに縛られて、自分が感じたことしか書けないけれど、小説はもっと範囲が広がって、異空間を味わうみたいな感覚に近くて、何でも書ける。こんな世界は初めてだと思いました。