有馬記念”2強”クロノジェネシス、エフフォーリアに死角?!両陣営の「少し物足りない」慎重発言をどう判断すればいいのか?
死角になっているのが、10月3日にフランスに遠征し、道悪の中で行われたG1凱旋門賞で7着に敗れた後の回復度だ。注目の最終追い切りは十分に負荷をかけられる併走パートナーを選択。CWコースで10馬身ほど追い掛ける形でスタートすると、最後は内から末脚を伸ばし、併入する形でフィニッシュした。ただ、調教師は、ここでも慎重な姿勢を崩さす「折り合いに関しては大丈夫そう。ただ、いいころと比べると物足りなく見えた」とコメントしたのである。また冬毛が出ており、グレーの芦毛とあってより目立ってしまい、ファンの間では、「割引すべき」の声もある。 この陣営の言葉を受け取ればいいのか。 予想する際に調教師や騎手のコメントを参考にするファンは少なくない。だが、時にはブラフがあり、時にはカモフラージュがあり、時には謙遜もあり、このレース前のコメントをどう読み取るかも、競馬予想の醍醐味となっている。 調教時計は6ハロン(1200m)81秒1、ラスト200mは11秒1とシャープに伸びている。枠順が4枠7番に決まると斉藤崇史調教師は、「追い切り後も状態は悪くなっていないと思う。馬体重はいつも通りで、480キロぐらいで出せそうですね。枠順も偶数が希望でしたが、ここ2走は駐立もおとなしくなりましたから」と少しトーンを上げてきた。 手綱を取るクリストフ・ルメール騎手も「この馬は国内では崩れたことがない。コンディションさえ良ければ、走ってくれる。スピードとスタミナのバランスがいいし、何よりも経験がある」と厚い信頼を寄せていた。 また冬毛と体調には関連性がないというのも専門家の一般的な見解。この秋のトレンドに、引退レースで有終の美を飾る最強馬が目立つということもある。コントレイル、グランアレグリア、さらにアメリカと香港のG1を連覇したラヴズオンリーユーも引退の花道を勝利で飾った。陣営の慎重発言はスルーしていいのかもしれない。 一方の1番人気に支持されたエフフォーリアも、コンビを組む横山武史騎手も、追い切り後の記者会見でクロノジェネシス陣営と同様に慎重な発言を口にした。 「天皇賞の追い切りはすべて完璧だった。それに比べると今回は物足りない」と辛口ジャッジをしたのだ。皐月賞を制覇しているとはいえ、本来、得意なのは、左回り。陣営が、3000mの菊花賞をパスして、天皇賞・秋に向かわせたことを考えると、初めて経験することになる2500m戦の距離に不安があるのかもしれない。 だが、ファンは、ファン投票でもクロノジェネシスよりエフフォーリアを1位で選び、また前日オッズでも1番人気に支持したことに理由はある。