雅子さま・愛子さまのファッションに見る「皇室に受け継がれるもの」《ティアラ、着物の帯、銀製の“小箱”まで》
愛子さまのティアラは…
ティアラは皇室の行事などに出席する際に身に着ける、女性皇族の必須アイテムとされ、成年になる時などに製作されてきました。 しかし、愛子さまは20歳になる時にコロナ禍であったため、苦境にある国民生活を慮って新調せず、叔母の黒田清子さんからティアラをお借りになりました。 2024年の新年祝賀の儀でも、愛子さまはお借りになったティアラを身に着けられ、そこには国民と苦楽を共にするというお気持ちが表れていると思います。
美智子さまから雅子さまに受け継がれたもの
一般の家庭でも、お姑さんがお嫁さんに大切なものを譲るというのはよくあることでしょう。 雅子さまは一般の結納にあたる「納采の儀」の時、朱色地に七宝華紋の帯を締めていらっしゃいました。 この帯は、皇室に嫁ぐ雅子さまへ、美智子さまから贈られたものでした。 もともとは香淳皇后から美智子さまに譲られたもので、義母からお嫁さんへ、世代を超えた思いが込められているものだと言えます。 他にも、美智子さまから雅子さまへ、細やかな心配りが込められていたのは、結婚式の時に身に着けられるローブ・デコルテの生地でした。 1959年、上皇さまと美智子さまが結婚する時のローブ・デコルテの生地は、京都にある西陣織の老舗、龍村美術織物に依頼。その生地には、大変縁起の良い鳳凰と龍が金糸や銀糸で織り込まれており、「明暉瑞鳥錦(めいきずいちょうにしき)」という名前が付けられました。 出来上がった生地は、ローブ・デコルテのデザインを担当するクリスチャン・ディオール社に渡され、1959年4月10日の結婚式で美智子さまがお召しになったのです。 匠の技が結集した「明暉瑞鳥錦」は、以後、一切使うことはないだろうと思われていましたが、陛下や秋篠宮さまが結婚する際、美智子さまが注文されて、この生地が雅子さまと紀子さまのローブ・デコルテにも用いられました。 結婚する際に身にまとうローブ・デコルテの生地には、嫁ぎくる妃殿下たちへの、美智子さまのお心遣いが込められていたのです。