もう一つの“小さな御柱祭” 長野各地で繰り広げられる「小宮祭」
7年に一度行われる長野県・諏訪大社の「御柱祭」。今年は開催年で6月15日の「上社・宝殿遷座祭」で全日程を終了した。しかし、まだ10月いっぱいまで “小さな御柱祭”が諏訪地方の中小の神社で繰り広げられていることをご存知だろうか? 「小宮祭」と呼ばれるこの祭りで曳かれるのは、いずれも諏訪大社の御柱よりも小さなご神木だが、湖を渡るものあり、山の頂上まで曳かれるものありと、それぞれに個性がある。また、氏子しか参加できない大社の御柱祭に対し、小宮祭には観光客が参加できるものもあり、知る人ぞ知る参加型の観光イベントとしても親しまれつつある。地元住民として、また観光客の一人として、1日で2つの小宮祭の行事に参加した。(内村コースケ/フォトジャーナリスト)
6市町村の諏訪神社でそれぞれ行われる
諏訪大社をはじめとする諏訪地方の神社には、たいてい鳥居をくぐった先にあるお宮を囲むように、4本の御柱が立っている。これを数えで7年おき(満で6年に一度)の寅年と申年に新しいものに交換する作業を神事としたものが、御柱祭だ。5月に、諏訪大社の4つの社(上社本宮・前宮、下社春宮・秋宮)に計16本の御柱を、山から6.5キロ~13.8キロの道のりを人力で曳いて行く。クライマックスは、道中の急坂を降りる「木落し」と川を渡る「川越し」だ。6日間かけてお宮に到着した御柱は4社の各境内に建てられ、後日の「宝殿遷座祭」をもって全日程が終了する。 一方、小宮祭は、諏訪地方の6市町村(諏訪市、茅野市、岡谷市、下諏訪町、富士見町、原村)の諏訪神社でそれぞれに行われる小さな御柱祭で、基本的に大社と同じことを夏から秋にかけて繰り広げる。
別荘地内で行われた御柱の「切り出し」
大社の御柱の大きさは個体差があるが、概ね長さ19メートル、直径約1メートル、重さ約7.5トン程度とされる。小宮祭の御柱はこの3分の2から半分程度の大きさだ。この御柱用の木を伐採する「切り出し」は神聖な儀式の一つで、小宮祭でも同様に行われる。