自民党や立憲民主党はもはやオワコン!?ネット選挙が可視化する政治家の「真の実力」
パワハラ疑惑の齋藤知事の再選で波紋を呼ぶ兵庫県知事選。一部には「有権者がネットのデマに騙されただけ」との論調もあるが、果たして本当なのか? 選挙結果を左右するネット戦略の最前線を社会学者の西田亮介氏と、AIエンジニアの安野貴博氏が語る。 【写真】再逮捕された「美人すぎる市議」の写真集全カット… 前編記事『緊急対談・西田亮介×安野貴博 なぜ「マスゴミ」は石丸・玉木・齋藤現象を予測できなかったのか…!』より続く。
ティックトックでニュースを集めるアメリカ人
西田:ところで、安野さんはさきのアメリカ大統領選で、現地まで取材に行かれたそうですね。いかがでしたか? 安野:イリノイ州からペンシルベニア州にまたがるラストベルトと呼ばれる地帯をまわりました。 特に印象に残っているのが、「どのメディアを信頼しているか?」と聞いたときに、かなりの数の方が口を揃えて、動画投稿アプリのティックトックを挙げていたこと。曰く、「既存メディアは検閲されている。ティックトックは検閲がないため、変な情報もまざっているが自分でいろいろ探して真実に辿り着ける」と。既存のメディアが影響力を失い、プラットフォームが果たす役割が大きくなっているのを感じました。 またトランプ氏とハリス氏で注力しているSNSが違うのも面白かったです。 たとえばトランプ氏は、ネットラジオのポッドキャストで3時間も4時間も延々としゃべり続ける。一方でハリス氏は、インスタグラムでセレブリティに支持を表明してもらう。得意とするSNSが違うんです。
ネットが可視化する政治家の「真の実力」
西田:日本でも国民民主党の玉木雄一郎さんなどはユーチューブの長尺動画に力を入れていて、蓮舫さんなどはインスタグラムを使うといった違いがありましたね。最近の傾向では、長尺動画のほうが支持を集めやすいように見えます。 安野:そうですね。それに伴って求められる政治家像も変化してきているように感じます。たとえば従来の政治家の方は「物理的制圧力」が異常に高いですよね。どういうことかというと、実際に会うととてもいい人に見えたりする。あとは街頭演説で一方的に自分の意見を話したり、テレビで5分くらいのコメントをするのがとてもうまい。 でもネット選挙が中心になってくると、そうした能力が通用しなくなってきます。画面越しだと物理的制圧力は効かないし、長時間のインタビューを受けて、ボロが出てしまったりする。 西田:それは面白い指摘ですね。私もネット番組で政治家のインタビューをしてきましたが、勉強不足で沈黙してしまったり、聞いていることに答えずに演説調で話し始めたりしてしまう人が結構います。特に自民党や立憲民主党など既存政党のベテラン議員にそういう人が多い。