“かえない男”松山英樹は、なぜ新ドライバーを即投入できたのか?「ボール初速が高く飛ぶクラブが絶対にいい」
今季、節目となる米ツアー通算10勝目を飾り、パリ五輪では銅メダルに輝いた松山英樹。驚かされたのが、米国男子ツアーのプレーオフ最終戦「ツアー選手権」でいきなり新ドライバーを投入したことだった。よほど気に入らなければ、クラブを替えない松山にどういう心境の変化があったのだろうか。松山のクラブを担当するダンロップスポーツアメリカズ駐米プロ担当、宮野敏一氏にじっくり聞いた。 松山が即投入した『スリクソンZXi』4モデルの顔を並べるとけっこう違った【写真】 「本当に良くないとクラブを変えないのが松山プロ。新作ですごく良かったのが、ボール初速が高かった点です。松山プロにはボール初速が出て飛ぶクラブが絶対的にいいんです。ボール初速が出ないと松山プロは試してくれないし、飛ぶ可能性がないと魅力がないんだと思います」 当初、本当にドライバーを替えてすぐに試合に臨むのかと宮野氏は疑問に思っていたという。ポイントランキングも高く、腰痛も発症していた状況にあったためだ。「松山プロが打ったらボール初速で2mph(約1m/s)ほど速くなっていました。飛距離だと2~3ヤードくらいだと思いますが……」。その数値が松山には大きな魅力となったに違いない。 先週の国内男子ツアー「ANAオープン」でもお披露目されたスリクソンの新ドライバー。刻印を見ると『ZXi』とあり、4機種のヘッドが確認されている。スタンダードモデルの“無印”のヘッド、ロースピンモデルの『LS』、小ぶりでややディープなヘッドの『TR』、そしてやさしいモデルに位置づけられるであろう『MAX』である。宮野氏は明言しなかったが、『スリクソン ZX5 MkII LS』を使用していた松山は、おそらく今作も『LS』タイプを投入したと予想される。 「新ヘッドだとロースピンで飛びましたね。浅重心タイプだとボールが前に飛ぶ力が強くなるので、初速が出たんだと思います。スピン量はウェイトなどで調整できるので、スピン量は問題なかったですね」 今回、宮野氏が驚いた弾道の変化があった。前作よりも打ち出しが高くなった点だ。 「出球が高くなっていました。コースで見ていると、今までの弾道より高い感じだなと思っていました。練習でも打ち出しが高くなっていたデータがあります。打ち出しが高くなると、いろんな可能性が出てくれます。ボールが上がるヘッドの打ち出しをやや低くするのは割と楽で、もっとキャリーが出せる可能性を秘めています」 使用シャフトは、絶対的信頼を寄せる『ツアーAD DI-8TX』。軸となるシャフトが決まっているからこそ、ヘッドの性能を見極められるというものだ。松山が今後どのようにドライバーを調整して10月開催の「ZOZOチャンピオンシップ」に挑むのか目が離せない。 ◇ ◇ ◇ 松山英樹は、バンスがほとんどない60度ウェッジを使っているという。関連記事【松山英樹は、超難しいバンス0度の60度ウェッジをフェースをマン開きで打ってるの?】を読むと、その秘密が分かります。