「すべての人が自由に発言していい」ミュージシャン・SUGIZOが社会問題について発信する理由
ロックバンドLUNA SEA、X JAPANのギタリスト&ヴァイオリニストとして活躍するSUGIZOさん。近年は、音楽活動だけでなく、アクティビストとして中東の難民キャンプを訪れて支援をするほか、脱原発や環境問題などに対して自身の意見を発信する活動が増えています。しかし、「ミュージシャンが政治的なことをやるな」と、時に心ない言葉を投げかけられることもあるそうです。ミュージシャンという立場で社会的活動や発言をすることに対して、SUGIZOさんはどう考えているのか、伺いました。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
自分の子どもが生まれたことを機に、支援活動に興味を抱くように
――SUGIZOさんが難民支援の活動をするようになったきっかけを教えてください。 SUGIZO: 難民の方々への支援活動をするようになったのは2013年くらいからですが、そもそも難民支援に興味を持ったのは今から20年以上前です。きっかけは自分の子どもが生まれたことでした。 ちょうどその頃、コソボとセルビアの紛争が激化していて、子どもたちが空爆で犠牲になっているニュースが報道されていました。僕らと同じ時間軸の中で生きているのに、生きることがままならない子どもたちがいることがたまらなくなって、彼らのために何かできることをしたいと思うようになったんです。
難民キャンプで演奏するのは不謹慎だと思っていたら、真逆だった
――SUGIZOさんは難民キャンプでコンサートをやられていますよね。 SUGIZO: はい。アズラックとザータリの難民キャンプに初めて訪れたとき、「ぜひ演奏してほしい」とオファーを受けたんです。でも、当初は、明日生きられるか分からない方々の前で演奏をするなんて不謹慎ではないかと思っていました。生死のギリギリにいる方の前で音楽やエンタメを披露するなんて、罰当たりじゃないかと。 ところが、難民の皆さんの反応が想像とは真逆だったんです。一緒に行動していたミュージシャンと即席でバンドを組んで演奏をしたら、想像を絶する盛り上がりで。みんな興奮し過ぎてわーっと押し寄せ、ステージに上がってきてしまい、けが人が出そうになるほどでした。特にびっくりしたのはザータリでの演奏です。皆さん敬虔なイスラム教徒なので女性はヒジャブもしていますし、人前で感情をあらわにすることはありません。そんな女性たちが子どもたちと騒いで踊って手拍子をして、ものすごく盛り上がったんです。 そのとき「この方々は心の潤いを求めているのだ」と強く確信しました。難民キャンプに身を寄せていれば衣食住はギリギリ手に入るので、生きてはいけるんですね。生命として生存するためには別に食料はおいしくなくてもいい。味がしなくても栄養になれば生きていくことはできるんです。でも、おいしい料理をいただくことは、生存本能ではなく心を満たす行為。音楽はおそらくおいしい料理と同じなんです。これが無いと、多分心が死んでしまうんですよ。 この経験を機に「世界各地の難民キャンプで音楽をやりたい」と思うようになり、それから足しげく通うようになりました。