「すべての人が自由に発言していい」ミュージシャン・SUGIZOが社会問題について発信する理由
ミュージシャンも、農家やビジネスマンと同じく発言する権利がある
当初は「自分の社会的意識や行動を本職の音楽と結びつけようとは思っていなかった」というSUGIZOさん。しかし、脱原発や環境問題、再生エネルギーなどにも関心を持つようになり、勉強会やシンポジウムに参加するうちに、少しずつ存在が周囲にも知られることになりました。次第に、そういった場で登壇したり、演奏したりするようになり、「社会的な行動をすることや自分の意識を発信することが、音楽家としての活動と同じくらい優先したいことになった」と言います。 ――ミュージシャンという立場で社会的な行動や発言をすることに対して、周囲からどんな反応があったのでしょうか? SUGIZO: ミュージシャンが社会問題に関して発信したり行動したりすることは、僕らの世代ではどちらかというとタブー視されていたんです。今でも「ミュージシャンが政治的なことをやるんじゃない」とよく言われます。僕はアホかと思ってるんですけどね。 そもそも音楽や芸術というのは、何百年も政治や社会のうねりと一緒にあったんです。アーティストが社会構築にかかわることはいたって自然なことで、その意識を作品に込めることは当たり前のことなんです。それがこの数十年、日本ではタブー視されている。ある意味、本当に重要な部分に触れないように目隠しをされているような状態ですよね。 僕がたまたまミュージシャンなだけで、農家やビジネスマンと同じように自由に発言したり、行動をする権利を持っています。ミュージシャン、表現者だけがそれをやってはいけないと言われる筋合いはないんです。皆さんと同じように税金を払ってこの国に貢献しているわけで、同じように発言する権利はあります。特に今はSNSが盛んな時代になり、全ての人が発信者になることができます。昔のようにミュージシャンなど表舞台に立つ特別な立場にいる人間しか発信できない、ということではなくなりました。皆さんと僕は何も変わらないんです。