ANA、羽田-ミラノ就航 25年ぶり乗り入れ、貨物も期待
ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)は12月3日、羽田-ミラノ(マルペンサ)線を週3往復で開設した。ANAがミラノへ乗り入れるのは約25年ぶり。当初は2020年に就航予定だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、約4年遅れとなった。ANAが新規開設する欧州3路線の第1弾で、ミラノに続きスウェーデンの首都ストックホルム、トルコのイスタンブールと、12月から2025年2月にかけて順次就航する。 【写真】羽田第2ターミナルから出発するANAのミラノ行き初便 ◆787-9で週3往復 運航日は火曜と木曜、日曜で、羽田空港第2ターミナルの国際線施設から深夜に出発する。運航スケジュールは、ミラノ行きNH207便が羽田を午前1時5分に出発し、午前8時30分着。羽田行きNH208便は午前10時30分にミラノを出発して、翌日午前7時30分に到着する。機材はボーイング787-9型機の3クラス215席仕様(ビジネスクラス48席、プレミアムエコノミー21席、エコノミークラス146席)を投入する。 3日のミラノ行き初便NH207便(787-9、登録記号JA892A)は乗客203人(幼児ゼロ)と乗員12人(パイロット4人、客室乗務員8人)を乗せ、73番ゲートから午前1時9分に出発し、C滑走路(RWY34R)から同23分に離陸してミラノへ向かった。現時点で第2ターミナルから出発する国際線の最終便となる。 搭乗口付近で開かれた就航記念式典で、ANAの平澤寿一専務は「ANAにとって約25年ぶりの再就航となり、ビジネスと観光の両面でご利用いただけると期待している」とあいさつ。今年1月24日からコードシェア(共同運航)を始めたITAエアウェイズ(ITY/AZ)がローマ-羽田線を運航していることから「ITAの羽田-ローマ線とANAの羽田-ミラノ線を組み合わせ、便利で快適なイタリア旅行をご提供できると確信している」と述べた。 平澤専務によると、イタリア国内の日系企業はローマよりもミラノが多く、日伊間は貨物需要が旺盛だという。ANAによると、日本発の貨物は半導体や自動車部品、工作機械、ガーメント(衣類・衣装)などで、イタリア発は革製品やブランド品、医薬品、航空機部品、電子タバコ、大理石などだといい、欧州ではドイツに次いで輸出貨物が多く、貨物需要も期待しているという。 就航式典には、ジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使や、ナポリ出身のタレント、パンツェッタ・ジローラモさんらが出席。日伊間の直行便就航を祝った。乗客へ手渡された記念品は、東京とミラノが描かれたステンレスボトルやメモ帳、銀座・和光が手掛けたしおり、オリジナルブレンドコーヒー、搭乗証明書などだった。 ◆2タミ国際線18路線に ITAとのコードシェアは、ANAの国内線9路線と、ITAのローマ-羽田線とイタリア国内線を合わせた6路線が対象。ITAは経営破綻したアリタリア-イタリア航空(AZA/AZ)に代わる国営の航空会社だが、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)を中核とするルフトハンザ・グループが買収を進めており、加盟する航空連合(アライアンス)も現在のスカイチームから将来的にANAやルフトハンザと同じスターアライアンスへ移籍する見通し。 ANAはITAのほか、イタリアの鉄道会社トレニタリアと今年7月1日から提携。イタリア国内25都市をはじめ、欧州各国と結ばれた。 ANAは、関西-ローマ線を1995年12月21日に、関西-フランクフルト-ローマ線を1996年9月8日に、関西-ミラノ-ローマ線を翌9日に開設したが、1998年から翌年にかけて順次運休。関西-フランクフルト-ローマ線が1998年10月25日に、関西-ミラノ-ローマ線が2日後の27日、関西-ローマ線は1999年3月29日に運休した。 また、ミラノ線就航で羽田第2ターミナルの国際線施設からは、1日あたり国際線18路線27便が出発するようになった。 ANAはミラノに続き、2025年1月31日に羽田-ストックホルム線、2月12日に羽田-イスタンブール線を開設する。
Tadayuki YOSHIKAWA