【Around30】TPPに負けないコメづくりをめざす「脱サラコメ農家」
TPPに負けないコメづくりを
競争は厳しくなり、コメの価格が下がることも予想される。しかし、五十嵐さんは、コメの付加価値を上げ、生産コストを抑え、東京の農協での営業経験を生かし、新たな販路の開拓を目指す。「困難な時こそ、工夫して打開していくのが楽しみ」と話す。決してTPPの大筋合意をマイナスにはとらえていない。 今月、生後7カ月の長男が離乳食の時期に入った。自分で作ったコメのおかゆは、長男が生まれて初めて口にする食べ物となった。新米パパにとって誇らしい瞬間だった。「子どもに誇れる仕事がしたい」と語る五十嵐さん。自分の息子がもりもりと食べてくれるように、そしていつか、自分のコメを世界の人がもりもりとコメを食べてくれるように、五十嵐さんの挑戦は続いていく。
◆五十嵐雅敏(いがらし・まさとし) 1985年9月16日生まれ。秋田県大潟村出身。立教大学経済学部を卒業後、2008年に東京都内の農協に入職。金融部門の渉外(営業)担当として働く。2013年3月末で退社し、現在は実家のコメ農家を継ぐべく日々コメ作りに励む。昨年6月に長男が生まれ、新米パパとして妻との2人3脚で子育てにも奮闘中。 (文・山田恵介/THE EAST TIMES)