【子育ての落とし穴】“なんでも一人でできる子”は要注意! 小児脳科学者が断言する「子どもの真の自立」とは
真の自立とは、周囲に頼れること
このことは、子育てにも大きな示唆を与えてくれます。親から「自立とは、自分ひとりの力で生きていけることである」と教えられた子どもは、「人に頼るのはよくないこと」「助けてもらうのは恥だ」と考えるようになり、レジリエンスは低下し、結果として、例えば学業などの成績が上がらないかもしれないわけです。 子どもにはできないことがたくさんあります。それを「早く一人でできるようにしなさい!」と叱るのではなく、子ども自身が自分のダメなところをしっかりわかった上でそれを「助けて」と言える家庭環境を作ることが大事です。周りの大人にサポートされることで「自分は支えられている」と自覚する。これこそが高いパフォーマンスを生むのです。 レジリエンスは子どもに限らず、現代を生きる多くの日本人に足りないと言われています。まずは大人の私たちが「ええかっこしい」をやめて、自立とは周りに「助けて」と言って助けてもらったら「おかげさま」と感謝できることであると考え改めることが、大切な第一歩ではないでしょうか。 【「誰にも頼らず、一人で何でもできるように」と育てると、レジリエンスが低くなる。親も子も、周囲への「おかげさま」を持つようにする】
〈著者プロフィール〉成田奈緒子
小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表。 1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。2009年より文教大学教育学部教授。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SBクリエイティブ)、『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)など著書多数