「引退する前に息子とNBAで同じコートに立つ」40歳レブロン・ジェームズが叶えた“夢”…1年半前、心臓発作で倒れた息子と“奇跡の共演”
ブロニーに受け継がれる“努力の姿勢”
開幕から3カ月たち、ブロニーはNBAの試合では主にベンチから父をはじめとするチームメイトたちを応援し、時にGリーグのサウスベイ・レイカーズで試合に出て過ごしている。12月28日の時点でNBAでの出場試合数は7試合で、平均わずか2.6分の出場だ。Gリーグでも9試合に出場し、平均27.9分の出場で14.7点、4.2アシスト、4.4リバウンド。30得点をあげた試合もあった。 数字だけ見ると通算得点で4万点以上をあげた父とは比べものにもならないが、それがどれだけ素晴らしいことなのかは、ブロニーもレブロンも理解している。何しろ、ブロニーが心臓発作で倒れてから、まだ1年半ほどしかたっていないのだ。今でも、そのメンタル的なハードルを乗り越えようとしているのだと、ブロニーは言う。 「乗り越えようとしている。簡単なことではないけれど、毎日、努力している」 「毎日、やるべきことに取り組み、毎日上達するように、毎日何かを学ぶように、そして毎日、自分のゲームをするように努力している。そうすることで、愛するバスケットボールを毎日楽しめるのだと思う」 レブロンも以前、ブロニーの一番の長所は努力し続けられることだと語っていたことがあった。子供のときから、父がコートに立つ準備をするために努力し続ける姿を見てきたからなのだろう。大好きなバスケットボールを楽しむために努力を惜しまない。レブロンからブロニーに受け継がれた大事な資質だ。 そんなブロニーを、レブロンも父として、チームメイトとして見守っている。 「試合でプレーする機会を得るたびに、彼は自分自身を取り戻す機会を得ていると感じる。プレーするごとに慣れていき、本能でプレーできるようになってきた。彼はずっとそうやってプレーしてきたんだ。彼自身が言っていたように、あの一件(心臓発作)から、ようやくメンタル面で立ち直ってきた。やっとすべてが元通りになってきた。何よりも彼がプレーしているのは見ていて嬉しい。まだまだ成長の余地がたくさんあるし、成長し続けるだろう。彼は努力するのが好きだし、ビッグリーグ(NBA)でプレーしたいと思っているからね」 最近のレブロンは、引退が近づいていることを常に意識している。それが次の夏なのか、もうひとつ先の夏なのかは身体とマインドの健康状態次第。ひとつ言えることは、チームメイトとしての息子の存在はそんな彼の活力になっているということ。息子にプロ選手としてのあり方を見せ、苦しんでいるときは愛情を注ぐ。シーズンの合間に見せる父親の顔のレブロンを見ていると、家族こそが彼がここまで長く、トップレベルでプレーできた理由なのだと思うのだった。
(「日々是バスケ」宮地陽子 = 文)
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