「霊能力者の指示」父殺害の罪に問われた次男 義姉を心酔 肉体関係まで…明かされた壮絶な半生【宮城発】
2023年4月17日朝、宮城県柴田町の住宅の玄関先で、会社員の村上隆一さん(54)が死亡しているのが見つかった。死因は刃物で腹を刺されたことによる失血死。約4カ月後、警察の捜査により、村上さんの次男・直哉被告と長男の妻・敦子被告が逮捕された。捜査の過程で分かったのは、敦子被告を中心とした美人局グループの存在、そして直哉被告の敦子被告への心酔ぶりだった。検察側の立証では、敦子被告が「霊能力者JUN(ジュン)」として直哉被告をLINEで操り、殺害を指示したという。一方で直哉被告は敦子被告がジュンであることを否定し、殺害は自分の意思だったと主張。敦子被告をかばうような証言をした。実の父親を刺したとされる直哉被告。そこに至るまでは壮絶とも言える半生があった。 父殺害の罪に問われた次男と長男の妻 2人のゆがんだ関係が明らかに
法廷に現れた次男と義姉
殺人や証拠隠滅教唆など4つの罪に問われた村上直哉被告(25)と、直哉被告の兄の妻・村上敦子被告(48)。2024年11月5日、初公判が開かれた仙台地方裁判所の法廷に、直哉被告は黒髪の角刈りに上下ジャージ姿、敦子被告は白のワイシャツに濃いグレーのスーツで現れた。精神鑑定などを経て、逮捕から1年あまりが過ぎ、送検されたときとは雰囲気が違って見える。 起訴状などによると、2人は共謀して、宮城県柴田町の住宅で村上隆一さんを刺身包丁で刺して殺害したとされている。実行役の直哉被告は、裁判長から起訴内容を問われると殺害の事実を認めたが「敦子被告との共謀は否定します」と小さな声で答えた。一方、事件を主導したとされる敦子被告は「共謀もしていないし殺していません」とはっきり主張した。 母親と息子のようにも見える2人。法廷で明かされた直哉被告の生い立ちから、肉親を超えたつながりが見えてきた。
「母の友達」から始まった関係
以下は被告人質問や実母への証人尋問で明らかになった直哉被告の半生だ。 直哉被告は1998年に村上隆一さん夫妻の次男として生まれた。小学3年から4年生の頃に両親が離婚。兄とともに母子3人で暮らすことになった。直哉被告によると、自宅は電気やガス、水道が止められ、ゴミ屋敷のようだったという。母から暴力を振るわれることもあり、不登校に。人生に絶望していたときに手を差し伸べてくれたのが敦子被告だった。 スロットが趣味だった母は同じパチンコ店の常連客だった敦子被告と出会い意気投合。直哉被告は歳が近かった敦子被告の子供と遊び「家族のように仲良くしていた」という。敦子被告は直哉被告の家庭環境を知ると同情し、実の息子のように接し面倒を見てくれたという。