「霊能力者の指示」父殺害の罪に問われた次男 義姉を心酔 肉体関係まで…明かされた壮絶な半生【宮城発】
「兄の妻」から肉体関係へ
しかし、普通のママ友の関係は異常なものへと変化していく。敦子被告はある日、母の容体が悪くなったのは直哉被告の母が風邪をうつしたからだと言い、治療費を払うよう要求。支払う金のない直哉被告の母に対し、敦子被告は売春を勧めた。敦子被告が出会い系サイトで相手を見つけては、金額などの条件を決めて性行為を行わせる。「売り上げ」は月に数百万円に上ったという。 直哉被告はその後、母のもとを離れ、父である隆一さんと暮らすようになっていたが、敦子被告が2011年に直哉被告の兄と再婚し、直哉被告は敦子被告と兄と一緒に暮らすようになる。やがて兄は敦子被告に暴力をふるい、浮気をしたという。直哉被告はその事情を敦子被告から聞き、自分の「味方」と感じていた敦子被告を励まし、いつしか肉体関係を持つようになった。「兄に悪い」と思いながらも関係を続けていたという。
美人局の「リーダーと片腕」
敦子被告の元夫などによると、敦子被告は別の顔も持っていた。不倫が原因で離婚した元夫が慰謝料を払えないことを理由に、元夫が2007年ごろに再婚した妻を利用し、売春や「美人局」を始めた。(詐欺、詐欺未遂事件として併せて審理中) 敦子被告が主導し、役割が明確に決められていたという。元夫の妻がホテルで男性客と性行為をし、直哉被告はホテルの出入りを動画で撮影、元夫がホテルから出てきた男性客に声をかけて、敦子被告が示談金の交渉をする。元夫の妻の証言では「十数人を相手にした」という。大人になった直哉被告は、美人局のターゲットに見つからないよう隠れて、ホテルに入る瞬間を撮影する役割を担うなどして、敦子被告の片腕となっていた。
「霊が見える」次男の孤独
検察側の立証では、LINEのやりとりなどをもとに、敦子被告がなりすました霊能力者ジュンに「隆一さんを殺害しないと敦子が死ぬ」と殺害を仕向けられ、直哉被告が実行したとされている。一方で、直哉被告はLINEでしかやりとりしたことがないジュンを敦子被告とは別の実在する人物と信じ、「助言してくれただけで殺害は自分で決意した」とかばうような証言をした。 被告人質問では、霊能力者への信頼は直哉被告の不可思議な体験が影響していることが明かされた。(以下、直哉被告の話を要約) 直哉被告とジュンの出会いは2020年9月ごろ。直哉被告のLINEに「敦子の知人です」というメッセージが届き、やり取りが始まった。敦子被告の小中学校の後輩だという「サトウジュンイチ」と名乗った。直哉被告がジュンに心を開いたのは、敦子にも共感してもらえなかった、ある秘密があったからだ。直哉被告は小学校低学年のころから霊が見え、人の周りに色がついたオーラも見えたという。ジュンに打ち明けると、経験談を交えながら共感してくれたという。 ジュンは実在すると確信を持った出来事がある。2021年3月に敦子被告の行動が気になった直哉被告が相談すると、ジュンは「見えないようにするからついて行ってみな」と返信してきた。実際に敦子被告の後をつけてみると、敦子被告に気づいた様子がないため、ジュンは実在し、絶大な力を持っていると信じるようになったという。