映画『モアナ2』興収900億円超えヒットの秘密。キーワードは配信・お仕事もの・モアナの上腕二頭筋?
体格がよくなった? モアナの成長
1作目のあらすじはこうだ。珊瑚礁に囲まれた南洋の島・モトゥヌイを舞台に、村長の娘で16歳のモアナが、故郷の島を襲う呪いを解くために海に繰り出し、半神半人の英雄・マウイと共に困難に立ち向かう── 。今作ではモトゥヌイを救ってから3年後、村のリーダーとなった19歳のモアナが、祖先の声を聞いて再び危険な航海に出ることになる。 となると観客にとっての大きな関心ごとは恐らく、3年後のモアナの成長ぶりだろう。その点に関しては、確かな変化を感じることができる。 第一に前作よりもモアナが大人っぽくなっている。旅装束が変化しただけではない。プロダクション・デザイナーのイアン・グッデイングはパンフレットの中で、「今回のモアナは筋肉が鍛え抜かれており、顔つきもちょっと角張っている。背も少し伸びた」と明かしている。私自身、船を漕ぐ時のモアナの二の腕(特に上腕二頭筋)の逞しさには驚いたが、同時に「船乗り」としての説得力を感じることができた。 加えて、彼女は一人娘から「お姉ちゃん」に変化している。3歳の妹であるシメアは子ども時代のモアナを彷彿とさせる天真爛漫な少女で、姉の後ろを付いて回る姿には微笑みを隠せない。 そして最後に、歌声の変化だ。これは吹き替え版に関してのみ、かつ私の主観だが、前作から続投となったモアナ役・屋比久知奈さんの歌唱力が数段階上がっていると感じた。前作では、等身大の16歳の少女の歌声という印象で、それはそれで作品にマッチはしていた。それが今作では、モアナの成熟し始めた人格を感じさせるような歌声に進化しており、実際に映画鑑賞後に前作のサントラと聴き比べてみてもその差は一目(一聴?)瞭然だった。鑑賞後はきっと屋比久さんの成長にも拍手を送りたくなるだろう。 もちろん、モアナ自身の根本的な部分は変わっておらず、両親や村民の期待に応えようとする真面目な性格や、タラおばあちゃんにも育てられたことによる「孫」感とも言えそうな親近感は健在だ。余談だが、私が観に行った都内の劇場では、プレミアムシートに高齢のご夫婦が何組も座っており、モアナの「孫力」を感じずにはいられなかった。