市町村が子育て支援を頑張ると、国が「お仕置き」「嫌がらせ」してくる根深い病理
一方で厚生労働省は格上の財務省に引け目を感じて、予算を強く請求できない。だから、医療保険や介護保険をつくる。保険制度はいったん導入すると徴収金額を好き放題にいじれます。だから介護保険料などは導入したときから3倍くらいに上がっている。 このように財務省と厚生労働省が長年、競い合うように税と保険を国民から取りまくっていった結果が、5割近くの国民負担率というわけです。 私の幼少時に比べれば、国民負担率は2倍以上になっています。ことに問題なのは日本がここ30年ほぼ経済成長しておらず、国民の生活はどんどん苦しくなっていることです。介護保険料は今後も引き上げられるでしょうし、消費税も現行の10%からさらに上がりそうな気配です。 それなのに、子育て支援も介護負担の軽減も一向に進みません。私たちのお金は、一体どこに消えているのか。年貢の徴収が行われていた江戸時代よりひどいのではないか。ついそう言いたくなってしまうほどです。 明石市が市民の負担を増やすことなく数々の施策を実施し、これまで黒字でやってこられたのは、私が打ち出の小槌を持っていたからではありません。私がやったのは、市民からお預かりしているお金(税金や保険料など)のムダ遣いをやめ、市民のために使うようにしただけのこと。
日本の国民負担率は諸外国と変わらないのに、国が国民に寄り添った政策に取り組まないのは利権を温存し、身内に甘く国民に厳しい政治を続けているからです。 ● 財政当局は危機を煽りながら ムダ遣いを前提に予算を組む 地方分権一括法の施行から20年以上たちましたが、いまだに日本は国が地方を支配する色合いが濃く、地方自治体は国の言うことに従わざるをえない状況です。中央省庁の官僚と国会議員は、今握っている実権を手放したくないため、財源という切り札をちらつかせて地方を従わせようとしてきます。 ともかく一番質の悪いのは、国の財布の紐を握っている財務省です。世間的には、官僚は賢い人たち、とくに財務省はエリートの集まりということになっているのだから、国民負担を増やさない発想をしていろんな政策に取り組むべきです。