部下から「日曜の接待ゴルフは休日出勤扱いにしてほしい」と連絡が! ゴルフが“労働時間”になる・ならないパターンを解説
昨今、仕事とプライベートの調和の取れた「ワークライフバランス」への意識が高まっています。 頻繁な職場の飲み会やサービス残業、休日の接待ゴルフなど、かつては当たり前だった風潮も、現在は改善に向かっている職場も少なくないでしょう。声を上げやすい時代になったこともあり、「休日の接待ゴルフは休日出勤として扱ってほしい」などと申し出る人も増えているかもしれません。 本記事では接待ゴルフやゴルフコンペの準備が労働時間にあたるのかを考え、日曜日に接待ゴルフまたはコンペ運営に参加した場合に休日出勤扱いとすべきかを解説します。 ▼有給休暇の取得に会社の許可は絶対に必要?「繁忙期」でも取得できるの?
労働時間とは
日曜日の接待ゴルフを休日出勤扱いとすべきかを判断するためには、接待ゴルフの時間が労働時間となるかを考える必要があります。はじめに、そもそも労働時間とは何かについて解説します。 労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令の下に置かれていて、使用者の指示により業務を行っている時間を指します。ここでいう指示とは明示的なものだけでなく、指示がなくとも事実上労働せざるを得ない、黙示的な指示と呼ばれるものも含みます。 会社によっていろいろな働き方があることから、一概に使用者の指揮命令の下に置かれているかどうかの判断はできないので、さまざまな状況から客観的かつ個別具体的に判断されます。
休日の接待ゴルフは原則として労働時間とならない
先ほど解説した労働時間の定義を考えると、接待ゴルフが労働時間になると思う人もいるかもしれませんが、結論としては、原則として労働時間にはならないと解釈されます。参考となるのが、高崎労基署事件(前橋地方裁判所1975年6月24日判決)の判決内容です。 ■高崎労基署事件の判決内容 この裁判は、取引先などとのゴルフコンペに使用者から命令されて出席することとなり、その移動中に交通事故で亡くなったことが、業務上の事由による死亡となるか否かが争われた事例です。 この事件の判決は、業務上の事由による死亡ではないと結論づけられました。 理由として、業務上の事由と認められるには、通常の命令によって出席しているということだけでは足りず、事業運営上緊要なものと認められ、かつ使用者の積極的な特命による出席でなければならない、とされたためです。このことからも、通常の接待ゴルフへの参加が労働時間になることは難しいと考えられます。