石破首相がやるべきなのは「地方創生」でなく「地方止血」だ
あるいは景気対策だ。消費を増やす。需要を増やす。違う。これは誰もが知っている。需要は足りているが、供給力が、質量ともに足りない。しかし、現実に打ち出される経済対策はほぼすべて需要対策だ。 そして、少子化対策。少子化を止めることは不可能だ。だから、子供を増やすことではなく、今いる子供たち、これから生まれてくる子供たちを守り、彼らをどう社会が育んでいくか、という考え方にするべきだが、いまだに子供の頭数を増やそうと全力で取り組んでいる。子供を増やす手を打つべき局面は30年前に終わったのだ。
■「地方止血戦略」こそが正しい戦略だ そして、何より、正しい大局観が求められているのが、地方創生戦略だ。 地方は、危機に瀕している。危機ではなく「すでに崩壊してしまった」、という判断が正しいかもしれない。それにもかかわらず、地方創生だ。名前が間違っている。地方止血戦略。それが必要なことだが、政治家も政策提言者も、現実逃避をして、創生という甘い言葉で夢を語ることだけが使命のように議論している。 書を捨てよ、街へ出よう。机上の空論は捨てよ、現実を見よ。東京の政策マーケット、コンサルタントを捨てよ、町・村に行き、僕らも彼らの寄合に参加しよう。
まず必要なのは止血だ。子供は生まれてこないから、出ていく人を減らす。東京へ留学した人を呼び戻す。各地域ではみんなやっている。 そのためには、子育て支援のためのバラマキ、移住のためのバラマキ、工場、コールセンター、データセンターの誘致では駄目だ。効果がないか、せいぜいA町とB町とC村で奪い合いをしているだけで、地方全体ではバラマキしただけ金(カネ)が出ていくだけだ。汎用性の高い、どこでもできる、奪い合わない仕組みが必要だ。そして、地方から人が流出する原因は、地域社会が若い世代、特に女性にとって生きにくい、息苦しい社会になっているからだ。
東京にあこがれるのは仕方がない。地方には遊ぶ場所がない、仕事がない。これはある程度、仕方がない。しかし、地域社会が閉鎖的な体質で息苦しい。外に出たい。だから、就学、就職というきっかけを利用して脱出する。 こちらのほうは、その地域自身の努力で改善可能である。バラマキでも誘致でもなく、これが最も効果的であり、本質的な対策である。地域社会の意識を変えることについては、今回はこれ以上議論しないが、最重要であることは忘れてはならない。