なぜ朝倉未来は斎藤裕に敗れ初代RIZINフェザー級王者になれなかったのか…誤算とメイウェザー戦の行方
約160万人の登録者を誇る人気YouTuberとして人気も巨万の富も手にした朝倉にはモチベーションに不安があった。 「YouTubeと格闘技は別もの。お金でなく強さを証明したい」と語っていたが、30歳までの引退をほのめかすなど、どこかで戦う理由を見失いつつあった。 一方の斎藤は、「彼に上回るものは根性」と戦前に語っていた。戦う理由の違いが勝敗を分けたと言ってもいい。だが、裏を返せば、この瞬間、朝倉に戦う理由が生まれたのである。 「ダイレクトリマッチしたい。今いからでも戦いたい」 朝倉は再戦を要求した。 「次やれば、俺が勝ちます。絶対に。テイクダウンのディフェンスはうまくないと思った。次は寝技の展開も入れていこうとも思った」 敗れてなお、朝倉は”らしさ”を失ってはいなかった。 「(負けたことで)強くなるんじゃないですか」 一方の斎藤もリング上で、「またこのリング(RIZIN)で戦い続ければ出会うかもしれない、そのときはまたよろしくお願いします」とリマッチに応じる覚悟を口にしていた。 再戦の舞台としては、大晦日の「RIZIN.26」が絶好だろうが、1か月ちょっとの試合間隔しかない。しかも、斎藤には深刻と予想されるダメージがあり、朝倉自身も「期間が短いのでその次の大会くらいからやりたい」と消極姿勢だ。 だが、榊原CEOは、大晦日でのリマッチを進めていきたい意向を明かした。 「大晦日にダイレクトリマッチをしたい。4ラウンド目を見たくなる試合だった。(齋藤が)ドクターチェックを受けてコンディションがクリアできるならやって欲しい。ゆっくりと口説く。週明けにも斎藤選手サイドとはコミュニケーションをとりたい」 リマッチを急ぐ背景には、来年2月28日に東京ドームで開催される総合格闘技イベント「MEGA2021」への参戦が決定したプロボクシングの無敗の元5階級制覇王者、フロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)の対戦相手の最有力候補として朝倉がリストアップされている事情がリンクされているのかもしれない。