「mixi2」で元に戻れる?SNSが牧歌的だった時代の終焉とAIの脅威
2022年10月のイーロン・マスク氏による買収以降、プラットフォームには大きな変化が生じました。APIの利用制限が設けられ、多くのサードパーティ製アプリやサービスが影響を受けました。インプレッション数に応じた報酬制度が導入され、閲覧されそうなポストやコメントをコピペで大量投稿するさまを表す「インプレゾンビ」という言葉も生み出しています。 有料ユーザーには文字数制限の撤廃や投稿分析機能が提供される一方、無料ユーザーの機能は制限されました。その後、TwitterはXとして再ブランド化され、音声通話やビデオ通話機能が追加されています。このほか、いいねやリポストの非表示機能、ブロック機能の変更など、ユーザー体験に関わるさまざまな変更が予告されています。 これらの変化は、Xのユーザー体験やエコシステムに大きな影響を及ぼし、それが次に述べるSNSの構造的問題をさらに浮き彫りにしています。 ● 情報民主化の光と影 深まる分断と社会への影響 SNSは情報の“民主化”を進める一方で、構造的な課題も抱えています。ここでいう民主化とは、従来は一部の人々や組織にしかできなかったことを、広く一般に開放し、より多くの人が利用できるようにすることを指します。音楽業界を例にすると、音楽制作がPC1台でできるようになり、インターネットを通じて世界中に音楽を発信できるようになった“民主化”により、YOASOBIのAyaseや米津玄師といった、いわゆる「ボカロP」出身のアーティストにも、日本の音楽シーンを席巻するようなチャンスが生まれたわけです。 さて、Twitterは情報の民主化の象徴として、情報発信のハードルを下げ、誰もが自由に意見を表明し、共有できる場を提供してきました。しかし、この民主化には光と影が存在します。 SNSはブログと異なり、プラットフォームごとに利用者を囲い込み、独自のエコシステムを形成します。この囲い込みは、特定のプラットフォームが利用者の情報を独占的にコントロールする状況を生み出しています。 実際、SNSの利用者がプラットフォームの偏向性に直面するケースも増えています。例えばドナルド・トランプ前米大統領が立ち上げたSNS「Truth Social」では、特定の思想を持つユーザーに支持される一方で、他の意見が排除される傾向があります。またMetaも、過去にFacebookで民主党寄りのモデレーションを行っていたことを認めています。