「mixi2」で元に戻れる?SNSが牧歌的だった時代の終焉とAIの脅威
プラットフォームそのものの偏向以外に、「エコーチェンバー現象」もSNSが持つ課題として挙げられます。エコーチェンバー現象とは、同じ意見を持つ人々が集まり、意見が共鳴しあうことで、他の視点や反対意見が排除され、極端な主張が強化される現象です。SNSは、この現象を助長する舞台となっており、現代社会の分断を加速させる要因となっています。 SNSのアルゴリズムはユーザーの興味関心に合わせた情報を優先的に表示するため、利用者が同質的な情報に囲まれ、異なる視点に触れる機会が減少します。結果として、意見が極端化し、社会的対立が一層深刻化するのです。 科学やエンジニアリングの分野でも、SNSにおける意見の対立は見られます。まして政治や社会的な価値観、心情に関する議論では、状況はさらに複雑です。絶対的な正解が存在しないことに加え、感情的な要素が絡みやすく、SNS上での分断は顕著になります。 その結果、科学的に不確かな主張や、明らかに矛盾のある政策に対しても、強固な支持層が形成されるケースが増えています。例えば、気候変動問題における否定論や、特定の経済政策を無条件に支持する動きなどは、こうした分断の典型例といえるでしょう。 さらに誰もが発信できることで、質の低い情報や極端な意見が広まりやすくなる「衆愚のリスク」も課題です。この問題は、生成AI技術の進化に伴い、より深刻化し、大量のフェイクニュースや偏向的な情報の拡散も懸念されています。 SNSが持つ民主化のポテンシャルを生かすには、アルゴリズムの透明性確保と利用者のリテラシー向上が不可欠なのです。 ● 2024年米大統領選と 兵庫県知事選におけるSNSの功罪 2024年の米大統領選と兵庫県知事選では、SNSが選挙結果に大きな影響を与え、注目されています。SNSは情報の拡散力が強く、選挙戦略の一環として重視されていますが、誹謗中傷やデマの拡散といった問題も指摘されています。これらの選挙は、SNSが政治においてどのように利用されるかを考える上で、重要な事例となっています。 米大統領選挙では、SNSが候補者のメッセージを広める上で重要な役割を果たしました。SNS上では選挙に関する偽情報やプロパガンダが広がる一方で、候補者たちは自らのメッセージを効果的に発信するための戦略を練る必要がありました。 特に、トランプ前大統領は、自身が立ち上げたSNSプラットフォームを利用して支持者との直接的なコミュニケーションを図ったほか、Xなど従来のSNSプラットフォームも駆使して支持者とのつながりを強化。これが彼の支持基盤を広げ、選挙戦での優位性を保つ要因となりました。