憧れのつるバラの世界へようこそ 第一章「つるバラを選ぶ」
写真は、バラと草花たちが織りなす繊細で上品な風景が広がるエントランス。 パーゴラ上部には緑陰としても美しい「アルベリック・バルビエ」、左手前には花つきがよく返り咲きの多い「プロスペリティ」、門扉の右側には華やかで香りもよい「ミセス・ジョン・レイン」など品種選びの工夫が光ります。鉢仕立てのバラや、やさしいフォルムの草花たちが植栽に深みと奥行きを添えています。
憧れのつるバラの世界へようこそ
『趣味の園芸』4月号からスタートした「姫野流 つるバラを楽しむ12章」では、「いつか憧れのつるバラを育ててみたい」と思っている人に向けて、八ヶ岳でバラ農場を営む姫野由紀さんが、つるバラの魅力と上手なつき合い方をアドバイス。 1年間の連載でつるバラの基礎知識、広さや高さに合った品種の選び方、美しく咲かせる栽培のコツ、思いどおりの風景をつくる仕立て方などをお伝えしていきます。 第1章のテーマは「つるバラを選ぶ」。4月号から、一部抜粋して紹介。
3つの樹形を覚えましょう
つるバラにはいくつかの特徴的な樹形がありますが、適材適所の品種選びのために、まず代表的な3つの樹形を覚えましょう。枝の伸びる長さと方向によっても大きさや形状が異なります。 多くのつるバラは枝を放射状に伸ばし、長く伸びた枝はやがて弓状に湾曲して、最終的には大きなドーム状になって自立します。 1.シュラブ樹形 オールドローズや日本のノイバラなど古い品種や野生種によく見られるバラの原点ともいえる樹形。 2.クライミング樹形 シュラブ樹形をより大型にしたイメージ。主幹がしっかりと立ち、より高く枝を伸ばしてから枝の湾曲が始まる最もつるバラらしい樹形。 3.ほふく樹形 枝を水平方向に伸ばす。テリハノイバラなどほふくする原種の血を引くつるバラに多い。最もたくましく枝を伸ばし、しなやか。低くて幅のあるフェンスや擁壁に下垂させたい場合などに効果的。 姫野由紀(ひめの・ゆき) バラ栽培家 1972年、兵庫県生まれ。10歳からバラ栽培を始める。一般企業勤務を経て故村田晴夫氏のばら園のスタッフに。2012年より八ヶ岳の農場を引き継ぎ、約1000品種のバラの苗木の生産・販売、品種選びや栽培管理のアドバイスを行う。つるバラやオールドローズをはじめ古花、名花にも造詣が深い。 ●『趣味の園芸』2024年4月号 新連載「姫野流 つるバラを楽しむ12章」第1回より