2024年のNRFのビッグショーはAI一色に:小売業界最大のカンファレンスがテックイベント化
ソフトウェア・ソリューションへの偏重
例年と比較して、今年のNRFのプログラムは、より実用的なユースケースに重点を置いているようだ、とミンコウ氏は言う。以前のNRFのイベント、特にパンデミック全盛期には、サプライチェーンの危機やインフレ、パンデミックなど、「小売業者がコントロールできない、大きなマクロの力」に焦点が当てられていたという。「今年のアジェンダは、小売企業が『よし、細部にまでこだわって、オペレーション・モデルを微調整しよう』というような、もう少しコントロール可能な瞬間を反映していると思う」と同氏は付け加えた。 スピーカーには、ウォルマート(Walmart)やイケア(IKEA)、メイシーズ(Macy's)、アマゾン(Amazon)といった小売大手の幹部が多数名を連ねている。キャスパー(Casper)やグロシエ(Glossier)のような新興ブランドの幹部がパネルに登壇している一方、中小企業は今年、大企業や小売チェーンほど中心的ではない。バイヤーや投資家とのつながりを求めている中小ブランドによれば、大規模なイベントは、具体的な目標を達成する上で方向性が定まらないように感じられるだという。 「もちろん、カクテルを飲むために参加するんだ」と話すD2Cマーケティング担当者は、今年もいくつかのセッションやアフターアワー・パーティーに参加する予定だという。冗談はさておき、この担当者はここ数年、NRFはますますソフトウェア・ソリューションに重点を置くようになり、「小売」にはそれほど重点が置かれなくなったと語った。「正直なところ、ベンダーとはあまり話したくない。「売り込みの話を聞くのは構わないが、この種のイベントでは、それが過剰になることがある。 一方、米モダンリテールの取材に応じた3人のCPGブランド幹部は、NRFのカンファレンスには参加していないといい、そのうちの1人は、時間がかかるため、小売バイヤーに会うためには、エキスポウエスト(Expo West)のような、より専門的な展示会に参加することを好むと述べた。 ピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)のチーフ・コマース・ストラテジー・オフィサーであるジェイソン・ゴールドバーグ氏は、「NRFは専門的な要素もあるが、最終的には一般的なイベントだ」と指摘する。また、「それがNRFの長所でもあり短所でもある。デジタル・カスタマー・エクスペリエンスやロス防止、リテールマーチャンダイジングのイノベーションに関するすべてを見たいのであれば、必ずしも最適な場所ではない。それぞれに焦点を当てた専門的な展示会がある」と語った。 [原文:NRF’s Big Show is all about AI in 2024, as retail’s biggest conference has become a tech event ] Gabriela Barkho and Julia Waldow(翻訳・編集:戸田美子)
編集部