血圧を乱高下させない、冬の安全入浴法。熱めのお風呂、晩酌後の入浴、浴槽で読書…いずれも死に至るリスクが。入浴は18時まで、入る前にはコップ1杯の水を
いよいよ入浴です。まずは心臓から一番遠い足にかけ湯をします。お湯の温度は39~40℃を目安に。そしてザブーンと一気に浸からずに、ゆっくりと。入浴に関する行動は、すべて「スローモーション」で行いましょう。浴槽の中に低めのいすを用意し、最初に半身浴をしてから肩まで浸かるのがおすすめです。 お湯に浸かると血圧が下がり始めます。これは入浴による健康効果ではありますが、高齢者は血圧が下がることで眠くなったり意識が低下することも。溺死に繋がるため、注意が必要です。入浴前の血圧上昇と入浴中の血圧低下、このジェットコースターを防ぐことが安全な入浴のコツなのです。 長湯予防におすすめなのは「分割浴」。5分お湯に浸かったらいったんお湯から出て、体を洗いながら8分休息、最後に5分温まって出るという手順です。体を洗っている間に自分の好みの温度に追いだきしてもOK。浴室内に時計を用意するとよいでしょう。 お風呂から上がる際は、ふらつきやめまいに注意を。もともと血圧が低めの人は、洗面器に冷水を入れ、手を浸けてから出ましょう。一時的に血圧が上がり、目がスッキリします。 そして湯上がり後もコップ半分~1杯の水を飲むこと。発汗による脱水で血液がドロドロになると、寝ている間に血管が詰まることもあるからです。そして「お風呂から上がったよ」と家族に声をかけましょう。
◆体調が悪い時はシャワーも控えて 体調を見極めることも重要です。できれば入浴前に血圧を測り、上が160、下が100mmHgを超えていたらその日の入浴、シャワーはやめること。 ほかにも、風邪気味だったり微熱、だるいなど「いつもと違うな」と感じたら控えるのが賢明です。自分では体調の変化に気づかないケースもあるので、家族が気をつけてあげてください。 一人暮らしの方はなるべく銭湯を利用するなど、倒れても助けが得られるよう工夫しましょう。 早朝は血液がドロドロになりがちなので入浴は避けること。一番風呂に入る場合は、肌が塩素でピリピリすることがあるので、入浴剤でお湯をやわらかくしておきましょう。 また、浴室で転倒してケガをするのはほとんどが高齢者。危険がたくさん潜んでいる入浴ですが、健康や美容に大きな効果も。事故を過度に恐れず自分を過信せず、入浴を楽しんでください。 《高齢者の安全入浴10ヵ条》 (1)入浴時の事故は「入浴前」「入浴中」「入浴後」の3回リスクがある (2)入浴に適した時間は16時から18時 (3)入浴時、すべての動きはスローモーションで (4)入浴前、入浴後は家族に声をかける (5)体調が悪い時は入らない (6)転倒しないための工夫を (7)食後、飲酒後、家族の中で最後には絶対に入浴しない (8)早朝の入浴は避ける (9)高血圧、心疾患の疑いがある人はとくに注意する (10)自分を過信せず、安全に気を配る (構成=島田ゆかり)
鈴木知明