【闘病】「精巣がん」で睾丸は握り拳まで腫れ上がり摘出 『子どもができないかも…』
結婚して半年、「子どもができなくなるのではないか…」という不安も
編集部: 病気が判明したときの心境について教えてください。 はらさん: 症状を基に自分で病気を調べて、精巣腫瘍の疑いがあると思い受診したのですが、いざ告知されると頭が真っ白になり、もはや他人事のようでした。 家に帰り「がんなんかには負けない」と気持ちを切り替えましたが、結婚して半年ほどだったので「抗がん剤治療で子どもができなくなるのではないか……」などの不安が出てきました。 編集部: 奥さまは何とおっしゃっていましたか? はらさん: 突然の報告に初めは驚いていましたが、「大丈夫だよ」「絶対治るから」と笑顔で声をかけてくれました。 編集部: 発症後、生活にどのような変化がありましたか? はらさん: 新婚生活から入院生活へとガラッと変わりました。抗がん剤治療中、副作用止めの薬が身体に合わなかったため、副作用を緩和する点滴なしでの治療となってしまいました。 そのため副作用が強く出てしまい、ほとんど動けず、ベッドで寝たきりの生活となっていました。食事もあまり食べられず、最初の1カ月で10kg以上痩せました。 編集部: 闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。 はらさん: 人との繋がりです。抗がん剤が思ったように効かず、入院中も転移が進んでしまっていたのですが、家族をはじめ友人など、いつも誰かが見舞いに来てくれていました。 「待ってくれている人がいる」「みんなが応援してくれている」と思うと、辛い治療も頑張らなくてはいけないと思えました。 編集部: もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか? はらさん: 元々、生活リズムが乱れていたり、身体を酷使したりすることが多かったのですよね。これが原因と決めつけるわけではないですが、「生活は見直しなさい」と言いたいです。
定期的に自身の身体をチェックすることを忘れないでほしい
編集部: 現在の体調や生活などの様子について教えてください。 はらさん: 髪が生え揃わない、手足の感覚や嗅覚の低下、息切れしやすいなどの後遺症は残っていますが、闘病中に出会った趣味により、さらに人との繋がりの輪が広がって、よりイキイキと元気に生活を送っています。 抗がん剤治療中に肺塞栓症を発症してしまったため、現在は1日1回、薬(リクシアナ)を服用しています。 編集部: あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。 はらさん: 誰もががんになる可能性があります。自分は大丈夫だと他人事に考えず、検診など定期的にご自身の身体をチェックすることを忘れないでください。 そして、基本的なことかもしれませんが、日々の睡眠や食生活など、「身体に負担をかけない」「身体を大切にする」といった生活を心掛けることが大切だと感じています。 編集部: 医療従事者に望むことはありますか? はらさん: 望むことという話ではないですが、入院治療することになった病院で入院前、医師に将来の子ども(妊娠・出産)について相談した際、「心配する必要はない」と言われたものの、入院までのわずかな期間で、念のため近くの産婦人科へ行き精子凍結保存をしました。 抗がん剤治療の影響で、現在は自然な流れでパートナーとの間に子どもを授かることが難しくなってしまったため、保存しておいて良かったと感じています。 また、前向きな気持ちで治療に向き合っていましたが、初めてのがん治療はやはり不安だらけでした。患者の話をもう少し聞いていただけたら嬉しいです。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 はらさん: がんになるとどうしても落ち込むと思いますが、前向きに向き合えたら良い方向へ進めると思います。現代は、二人に一人ががんになると言われている時代です。 一見しただけではわかりませんが、意外とがん治療と向き合っている人は多いです。実際に、自分の身近にもがんと向き合っている人がたくさんいました。自分だけではないと気付くことができると、とても心強いです。