川勝平太・静岡県知事に聞く(全文1)日本の人口停滞は平和な時代に起こる
いわゆる社人研(国立社会保障・人口問題研究所)の前提がありますね。仮に合計特殊出生率が1.3であればとか、1.5に回復すれば、とか言っているでしょう。人間を即物的、生む機械じゃありませんから。一人ひとり個人の家庭や子どもに対する考え全体としての集約です。その後ろに、静岡県ですと、今370万人ほどいますけれども、その心がどういうふうに動いているかということを常に考えなくてはいけません。 私も大学で教鞭をとったことがあります。あちこちの大学に行くと若い青年たちに最後に「皆さん、いずれいいパートナーを見つけて幸せになってほしいと思うのだけれども、何人くらい子供欲しいですか。1人から5人まで言うから、自分が将来何人子供が欲しいか、で手を挙げてください」と。「1人という人」と言ったらほんのわずかです。「2人」といったら半分ぐらい手を挙げる。「3人」、「はい、4人」、「5人」でがたっと落ちます。要するに、理想的な子供の数は2、3人だといっているんです、青年たちが。 おそらく明治の時代だと「産めよ増やせよ」。だから、おじいちゃん、おばあちゃんのときは、たくさん子供がいる。そのときと違うと思いますよ。しかし今は「やっぱり一人っ子よりも、お兄ちゃんがあったほうがよかった」とか、「妹が欲しかった」とか、「お姉ちゃんが欲しかった」とか、あるいは姉妹2人だった子は、「お兄ちゃんか弟が欲しかった」とか、男の子2人だと「お姉ちゃんか妹が欲しかった」というふうな、本当に自然な気持ちがあらわれている。 これが実は大切。経済的なことも何も考えなくていい。しかし、将来の幸せを考えられるような10代後半ぐらいになって「理想の家庭は」といったときに、その気持ちが働いているということを見失ってはならないと、思っています。 ※川勝平太・静岡県知事に聞く(全文2)に続く