川勝平太・静岡県知事に聞く(全文1)日本の人口停滞は平和な時代に起こる
「今、女性のルネッサンス」 仕事と家庭の両立問題に
そして泣く泣く、自分の弟よりも自分ができるにもかかわらず、就職したり、あるいは花嫁修業に入るということになったわけですが、それが、だんだん昭和40年代、50年代、60年代になっていくにつれまして、「お兄ちゃんが大学に行くなら私も行かせて。お兄ちゃんなんて全然勉強できないのに、どうして行かせてくれないの」なんて、そういうことになって。 知らぬうちに、短大から4年制大学に行く人も増えてきて、そして平成元年、1989年、その年に、女性の大学進学率が男性を抜くんですね。これは静かな革命で誰も知らないうちに進行しました。そして今、平成29年でしょう。だからあのときに18歳だったお嬢さんは、29年たっていますから、今47ぐらいになっているわけですよ。ですから47歳以下の女性は、学歴において男性と変わらないので、自分が男性よりも劣っているとは思っていないはずです。 しかし、男女共学で一緒にやっているけれども、「あの子頑張っているわね」といったときに、それは男の子であって、学歴社会。これは男中心の社会をつくるための企業戦士が、どういうふうに企業戦士として活躍するか。いい学校に行って、いい企業に入って、そこで一生懸命働くというイメージで、そこに女性のイメージはありません。 しかし、女性が卒業して、例えば小学校の先生になる、中学校の先生になる、あるいは出版社にでも行きましょう、あるいは新聞社にも行きましょうか、マスコミに行きましょうか、と。行ったところでは、女性が確実に男の職場を奪っていっています。 47歳以下の人は男女で学歴が変わらない。ただ、どこに行くかは、わからないです。役所に来ると、例えば、仕事が安定するとか、家から通えるとか、いろんな事情があって通う。今、半数ぐらいは女性が受けにきます。試験で点数が高い人が入るわけですから、もう男女半々といっていいです。そのように、女性が活躍する時代になっているということと、今の停滞が行き過ぎた人口減少。江戸時代と平安時代に比べても、今の女性の方が、力が強いです。 したがって、女性優位の社会におきましては、人口は増えないということ、平和だからです。平和だから、自分たちの言うことが通じるわけです。「女、子供はもう黙ってなさい」と、男が一生懸命、国のために働かなくちゃいけないというときには、言いたいことも言わずに「じっと我慢の大五郎」だったわけですね。それが今言えるようになっている、と。 ですから、日本の歴史が語っているのは、今、女性のルネッサンスが本格的に起こっている。私はこう見ているわけです。静岡県でも、例えば、民放、あるいは、NHK。6時からのニュースは、時々見ることがありますけれども、断然女性がリードしています。キャスター、昔からじゃないけれども、全体を仕切っているのは女性ですよ。そうすると、仕事をしていると、生活をどうするか、両立の問題が当然出てきます。ワーク・アンド・ライフバランスが、当然の課題になってきているのは、日本全国、今申し上げたことが起きているわけで、それが静岡県でも起きていると、見ています。