FBI捜査官「単独行動ではない」 米ニューオーリンズ車突入テロ
米南部ルイジアナ州ニューオーリンズ中心部で1日午前3時15分ごろ、群衆に車が突っ込み、警察当局によると15人が死亡し、数十人が負傷した。運転手は車を構造物に衝突させた後に発砲し、現場で応戦した警察官に射殺された。米連邦捜査局(FBI)は車から過激派組織「イスラム国」(IS)の旗が見つかったと発表し、「テロ事件」とみて捜査している。 【写真まとめ】車が突っ込んだ現場付近の様子 FBIによると、車を運転していたのは南部テキサス州のシャムスディーン・ジャバー容疑者(42)。容疑者が運転していたピックアップトラックは借りたもので、ISの旗のほか爆発物のようなものが残されていた。また現場となった繁華街でも爆発物のようなものが見つかった。FBI捜査官は記者会見で、「(容疑者が)単独で実行したとは思っていない」との見方を示した。 地元警察は、ピックアップトラックはスピードを落とさず「意図的」に次々と人々をはねたと説明した。構造物に衝突して停車すると、容疑者は近づいた警察官に向けて車内から発砲したという。 ニューオーリンズはジャズ発祥の地として知られる。現場となったバーボン通りは米有数の観光名所「フレンチクオーター」のなかでも飲食店などが並ぶにぎやかな通りで、新年を迎えて多くの人々が集まっていたと報じられている。 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、ジャバー容疑者が2007年から15年まで米陸軍に所属し、アフガニスタンに派遣された時期もあったと伝えた。軍内ではIT関連や人事部門の仕事に携わっていた。退役後はジョージア州内の大学に通い、学内の新聞に一般社会への適応に苦しんでいる状況を明かしてもいる。NYTは以前からイスラム教徒だったジャバー容疑者が、ここ数年は特に信仰に熱心になり、家族との離別などを経て不安定な兆候もあったなどとする親族や友人の話も報じた。 バイデン米大統領は1日夜、容疑者がISに感化されており、事件直前に「人を殺したい」と話す動画をインターネット上に投稿していたと明らかにした。 同日には米西部ネバダ州ラスベガスのトランプ・インターナショナル・ホテル前でも電気自動車(EV)大手テスラの車両が炎上し、1人が死亡、複数のけが人が出た。バイデン氏は、司法当局が二つの事件の関連の有無も含めて捜査していると述べた。【ニューヨーク八田浩輔】