“出生時664g”小さくても焦らず…「リトルベビー」を育てた母親たちの声生かし「低出生体重児」のための母子手帳
「低出生体重児」のための手帳
高橋さんと栗木さんは、小さく生まれた子どもを持つ親のサークル「ひめりんごの会」の共同代表。 この春、2人に朗報があった。2023年から県に要望してきた、ある「手帳」の配布が始まったのだ。 高橋由里絵さん: 「本物?おおー」 栗木沙織さん: 「カラーでイラストもいっぱいあって見やすいなって」 「ながの リトルベビーハンドブック たいせつなきみ」。 2500g以下で生まれた「低出生体重児」のための手帳だ。 長野県 保健疾病対策課・嶋田マユミさん: 「お母さんたちが不安だったり、落ち込んでしまったりする部分の精神的なフォローが目的。ゆっくりですが、必ず成長していくので、子どもの成長を実感できる手帳として使ってほしい」
リトルベビーを育てた母親たちの声
県内の新生児は年間1万2000人余り。このうち低出生体重児は全体の約9%で、全国もほぼ同じ状況だ。 高橋さんや栗木さんのケースのような1500g未満の「極低出生体重児」も一定数いる。 手帳はこうした子どもを持つ親に配布され、従来の母子手帳に加え活用してもらう。 中心になって要望してきた栗木さん。自身の経験が行動のきっかけだった。 栗木さんは30歳で第1子を妊娠した。妊娠8カ月の時に切迫早産で入院。 羊水が少ないことがわかり、緊急帝王切開に。智矢ちゃんは31週で生まれたのだ。 当時の母子手帳にはー。 (当時の母子手帳) 「すごく小さく生まれてきて、本当に不安だし産声がなくて怖かった。ごめんね。生まれてきてくれてありがとう。大変だけど、一緒に頑張って大きくなろうね」 最初の「授乳」は、母乳を含ませた綿棒で。毎日、母乳を届け、コロナ禍で面会が制限される中、成長を見守ってきた。 栗木沙織さん: 「自分が退院先にしちゃうのが、申し訳なくて、なんかちょっと悲しくて。最初の方は、なんかちょっとノイローゼ気味というか」 2カ月ほどで智矢ちゃんは2700グラムほどになり退院したが、その後も育児への不安は尽きなかった。 母子手帳の成長の記録は、途中で止まってしまう。 栗木沙織さん: 「体重も、(発育曲線の)範囲外から始まってるので、途中まで書いていたんですけど、なんかもういいやって、なっちゃって。『初めてお座りをした日は何月何日』みたいな記入欄があって、覚えてない。記録してあげられなかったなっていうのは(涙)」