千葉ロッテ福浦和也が語る2000本「一度は引退を考えた」
千葉ロッテの福浦和也(43)は、9月22日の西武戦で、史上52人目となる2000本安打を達成した。25年目にして、やっと辿りついた金字塔。その軌跡には、引退を覚悟した日があった。独占インタビューの終章。 福浦和也の球場入りは誰よりも早い。 ベンチ裏にあるウエイトトレーニング場で、入念なストレッチ。体をほぐすとグラウンドに出て、アップ、フリーバッティングのチームと一緒のメニューを消化し、ロッカーに戻ると、お風呂に入って体を温める。投手などに多いパターンだ。 試合直前になると再びストレッチからメディシンボールなどを使った軽い運動を行い、グラウンドに出てダッシュなどでハムストリングスに刺激を入れて、素振りをしてから試合に臨む。DH起用などでシートノックに入らない場合は、その間もストレッチ。43歳の肉体への気遣いがわかる。 準備力――。 福浦をよく知る人たちが彼を語るとき、そこにいきつく。 今季限りで引退、コーチとして再出発することになった外野守備の達人、岡田幸文(34)も、その引退会見で「プロ生活で大切にしたことは準備。それを教えられたのは福浦さんの姿です」と語っていた。 「いつも通りの準備。気持ちは冷静でした」 9月22日の記念すべき2000本安打を放った西武戦での打席の心境をも福浦は「いつも通りの準備」と言った。あの日、福浦の姿を追っていたが、ベンチでは、金森栄治前打撃コーチが持っているピッチャーのチャート表をチェックし、ネクストバッターズサークルでも股を大きく開いて下半身のストレッチ運動を繰り返す。打席に入るまでに行うルーティンは一寸の狂いもないほど同じだった。 試合後には、次への準備にとりかかる。 ビデオルームで自分の全打席の映像を見直すのだ。そこからウエイトトレーニング。もう1度、ストレッチをやって1日が終わる。ナイターから翌日デイゲームのときなどは、午前中にウエイトトレーニングを行うなどするが、「ウエイトは、よほど疲れていないかぎり、ほぼ毎日やります」という。 「無理やり作った体なんです。昔は細かった。自分でウエイトとプロテインを飲んででかくしたんです。だから今でもしっかりとウエイトを続けて維持しないと、すぐに体重が落ちるんです」 開幕時は87キロあった体重が6月に入って82、83キロまで落ちた。 「ほぼ代打とDHだったので、守っていない分、減ることは少ないと思ったんですが、やはり減りました。おそらく練習量を増やして汗をかいてスタメンで出たりしていたことが影響したのでしょう。調整は難しい。こんなに長く日々やっているのに、それでも答えがないんです。若い頃は、84キロでも、ずっとそのままいけた。試合が終わって2キロ減っている時もある。守備について、連戦とか続くと、すぐに減りやすいタイプなんです」 シーズン終盤は89キロくらいまであがったが、2000本安打ウイークとなった連戦で2キロ落ちた。 「減れば食べて戻すんです。プロテインやサプリメントも使いますね」 実験のような肉体改造を試してきた。 90キロに体重を増量して開幕を迎えたことも、逆に84キロに落としてスタートしたこともある。 「年度別に試してみました。僕の、今の年齢からすると、87キロくらいがちょうどいいと考えています。体重に関しては年間計画を立てます」