フーディーも注目する魚沼の異色ファミレス、その「尋常ならざる」こだわり
「狂っている」と言われる宴会メニュー
――宴会メニューは、ほぼ100%が南魚沼、新潟県産だとか。 小島:狂っているといるとよくいわれます(笑)。このメニュー数こなして、宴会メニューもやって。魚沼産の養殖すっぽんを使った料理と地元のお酒のペアリング会など、要望に合わせた宴会も受けているので、大変ではありますが、何よりまず知ってもらうことが大事。人を呼ぶのも仕事だと思っています。 そこで出会ったのがローカル・ガストロノミーを推進している岩佐十良さん。これまで築いてきた繋がりやコロナ禍での頑張りが今に繋がってきているのを感じています。 ――地酒の利き酒セットもついた「地場産セット」もあって、のん兵衛には嬉しいですね(笑)。 小島:はい、とりあえず地元のものを食べたいなら、地場産セットがおすすめです。天恵菇、地魚の美雪ます、名物のびしゃもん揚げ、伝統野菜の神楽南蛮味噌、在来種のおぼろ豆腐など、うちの名物や地元のものがほとんど入っています。 ――それ、後で頼みます! ちなみにお酒を目的に来られるお客様もいらっしゃるのでしょうか。 小島:はい、通し営業でグランドメニューも頼めるので、早い時間から飲まれる方もいらっしゃいます。仲間で飲みに来られるお客様もいますし、家族でお父さんだけおつまみとお酒でしっぽりやっていることもあります。もちろん一人で飲まれる方もいらっしゃいますよ。新幹線は1時間に1本なので、その待ち時間にチョイ飲みされる方も多いです。ワインは近くにある越後ワイナリーのものを置いていて、観光客の方が頼まれることが多いですね。 ――周辺に競合店はないのでしょうか? 小島:隣の六日町にいけばチェーン店はあるのですが、浦佐駅周辺にはないですね。マーケットがないんだと思います。 以前は浦佐スキー場というスキーヤーのいわば聖地があり、観光資源もあったのですが、スキー場がなくなってしまった今は人が少なくなり、駅前の商店や飲食店の多くが閉店してしまいました。 うちが唯一浦佐駅前にどんと構えているので、「一人勝ち」と思われるお客様もいらっしゃるかもしれませんが、我々としては「生き残った」という感覚なんです。 ――たしかに浦佐駅には、緑の窓口も、カフェすらもないですね‥‥。県外からのお客様はいらっしゃるのでしょうか。 小島:約8割が地元の家族層ですが、新幹線が止まるので、ハブにはなっています。近くに八海山があるので山上り目的や、魚沼の里など観光目的の帰りに寄られるお客様もいらっしゃいます。 コロナ禍で思ったのは、人を呼べるレストランにしていかなきゃいけないということ。そうすれば、近くの観光地も潤うし、地元のためにもなると思っています。いま天恵菇はシンガポールのレストランにも卸しているのですが、海外にも発信することで、ゆくゆくはインバウンドも呼び込めればいいなと考えています。