香港映画界の次世代俳優テレンス・ラウが語る、香港No.1ヒット作の魅力
先輩俳優の監督作を通じて学んだこと
――香港で、まだ劇場公開されていない『贖罪の悪夢』でも、壮絶な過去が明らかになっていく精神科医・マンを演じられました。先輩俳優であるニック・チョンさんとの共演に加え、監督も務めた彼の演出はいかがでしたか? 役者が監督されるときは、かなり細かい部分まで演出されることが多い気がします。しかも、キャリア上「役者はどういう状態に置かれると、どんな気持ちになるのか?」ということも熟知しています。だから、この撮影現場では、ニックさんは僕が置かれている状況をとてもよく分かっていて、常に僕を安心させてくれました。 ――撮影中の具体的なエピソードを教えてください。 劇中、僕が水の中に落ちるシーンがありますが、その日の撮影の気温が6度でした。そんなとき、現場で技術的な問題が起こり、アクションチームの方が何度も何度もテストしていたんです。 そこで、僕はニックさんに「もし良ければ、僕が実際に落ちてテストしませんか?」と提案したところ、「君は絶対に入っちゃダメ! 彼らに任せなさい」と言ったんです。とても寒かったこともあり、僕の体調を気遣ってくださったんです。そういう心遣いに対しても、とても感謝しています。 ――そして、日本で2025年1月17日から公開される『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』では本格的なアクションに初挑戦。バイクとバタフライナイフを華麗に操る信一役を演じ、これまでのテレンスさんのイメージを打ち破りました。 いろいろと挑戦的な役でしたが、ソイ・チェン監督とアクション監督の谷垣健治さんという、大変心強い2人が現場にいらっしゃったこともあり、「もし、何かあっても、きっと助けてくれる」という安心感がありました。 ソイ監督は役者が事前にいろいろ準備して現場に臨むことを嫌う人で、「とりあえず、あなたが感じたままにやってください」と、よく言っていました。それでテストした後に、いろんな人が意見を出し合い、その中からいちばんいいものをチョイスしていくというやり方で進めていきました。