繊細な香りに感激! オハイオの地ビール
私の住むオハイオ州ダブリン市から車で南に1時間強、チリコシーという町にある「オールド・キャピトル・ブリューイング」。 チリコシーはかつてオハイオ州の州都だったこともある、歴史のある町。お店の界隈も赤煉瓦作りで、中西部にしては珍しく趣のある街並みだ。 聞けば、「オールド・キャピトル・ブリューイング」は1930年代にこの地にあった醸造所へのオマージュの意味を込めて現在のオーナーたちが復活させたのだそう。 レトロっぽさの漂う店内に入った時から良い予感はしていたが、さっそく季節限定のWheat Berryを飲ませてもらって、唸った。IPAのフレッシュな香り、程よい苦味。他で味わったことのない、本物のブルーベリーの風味。とてつもなく美味しい。 オーナーの一人であるセスさんは奥様が日本人ということで、日本語も少しわかり、日本文化にも詳しい。ビールについて尋ねると、目を輝かせて工房の中まで入れてくれ、話し始めた。 「このホップはトロピカルな香りが強く、NEIPAにぴったりなんだ。冷凍庫に26℉(約-3℃)で保管している。ワールプール工程で20分ほどの間に0.25~1.00キログラムを加えるんだよ。ただ今日は伝統的なジャーマンラガーだから…」と、解説が止まらない。 セスさんは普段は物理のテストを作る仕事も兼業している科学者なのだそう。実に詳細にわたって説明をしてくれた。数字にも科学的なことにもからきし弱い私はただその情熱を感じるばかりだったが、丁寧に掃除された綺麗な工房を見ただけで、あの繊細な味が生み出されているのに納得した。 特に感激したのは、珈琲の香りがついたローステッドというメニュー。地ビールに時々感じる、「ほら、IPAっぽい苦さでしょ、強い香りでしょ」みたいな押し付けがましさが全くなく、上品なのにクセになるユニークな風味だ。 すっかりファンになり、可愛いロゴ入りアパレルグッズを買って帰路へ。他の市への流通は今のところしていないそうなので、あのビールのためにまたチリコシーまで喜んで車を走らせてしまいそう。 Old Capitol Brewing オールド・キャピトル・ブリューイング
Makiko